『いのちの食べ方』 森達也

 知ってるようで知らないことが知れた。ヤングアダルト本だけど大人も普通に読める本。

465207803Xいのちの食べかた (よりみちパン!セ)
森 達也
理論社 2004-11-19



 一頭の牛からどのような過程を経てスーパーで売ってる「お肉」になるのか。牛や豚の処理の仕方を初めて知った。品川の南口には都内唯一のと場(いわゆる屠殺場)がある。東京都中央卸売市場食肉市場に入っている芝浦と場で僕らの食べる「お肉」が作られているらしい。

 その処理の仕方の描写はかなりリアリティがある。これを見たらしばらく肉が食べられなくなるかなぁと思いつつも、これはいつか見学に行ってみたい、行かないといけないような気がする。人間はいろんな動物・植物を含めた生き物を食べていかなければ生きていけないわけで、いのちの大切さとかいのちへの感謝とかそういうものをダイレクトに思い出させてくれる。日々の生活で忘れていることを思い出させてくれた。




 実際の牛・豚の処分の方法を詳細に記述した後、お話は予期せぬ記述が続く。いわゆる被差別部落の問題に入っていく。芝浦と場(なぜ”屠場”ではなく”と場”と表記されるかということについての記述もある)に勤める人たちは東京都の職員になるそうだが、未だに職業柄、陰に陽に差別があるそうだ。従業員すべてが被差別部落出身者なのかは書かれていないがそういう方々が多いのも事実なのだろう。驚くのは未だに差別意識が残っていること。普段肉を食べている人間が、精肉事業に従事する人に対して差別をするという構図。差別する側の心理は理解ができない。自分の周りでこのような差別らしきものを見たことがないので知らないことが多かったが、こういう事実がいまだにあるということを知れたのはよかった。本では歴史的な経緯についても触れている。

 本は非常に読みやすく短い。あっさり読めるがエッセンスは詰まっている。図書館でもすぐに借りられると思うので多くの人におすすめ。

 とにかくいつかは現場へ見学に行きたい。少なくとも「お肉の情報館」は行ってみたい。
 東京都中央卸売市場食肉市場・芝浦と場
 「お肉の情報館」

 いろいろ見ていて気になった本『世界屠畜紀行』も読んでみたい。
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by vamos_tokyo11 | 2009-02-03 23:40 |


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