『アダム・スミス』 堂目卓生

 日経新聞の選ぶ2008年経済書1位(たしかそうだった)。

4121019369アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書)
堂目 卓生
中央公論新社 2008-03



 まず、アダム・スミスの生きていた頃の時代背景を紹介。次にアダム・スミスの1作目『道徳感情論』を解説。次に『国富論』について解説。で、これが著述された当時(アメリカ独立戦争の頃)にスミスが何をすべきと考えていたかを解説。終章は「スミスの遺産」と称してまとめ。

 僕のように、スミスについては「神の見えざる手」しか知らず、おまけに自由放任な市場主義と理解(誤解)している人にはおすすめ。ただし、『道徳感情論』の途中から『国富論』の終盤まで読むのがとっても滞った。個人的な理由で読む時間がブツ切りになったせいもあるのかもしれないけれど、なんだかすーっと入ってこなかった。原作の訳、筆者の解説が繰り返され、まどろっこしくて集中できなかったせいかもしれない(解説がくどい)。本書は大学の教科書にできそうなくらいで、新書にしては「カッチリ」とした中身だった。読んでると実際にこの堂目さんの講義を受けてるみたいな感じもする。

 で、もしこれから読もうと思ってる人がいて、読み始めたけど「つらいな、これ」と思ったら終章だけでもおすすめ。ここにエッセンスがぎっしり詰まっているので、正直ここだけ読めばいい気がする。僕らは学生でもなんでもないから。そういう意味では良書。さすがに学者さんの書く本だけあって体系がわかりやすい(本書に出てくる「体系の人- man of system」ではなく(笑))。「見えざる手」の本当の意味、背景がわかってよかった(P101あたり)。中学や高校で学んでることはほんとに上っ面だなぁと改めて実感した。




その他箇条書きメモ
・重商主義(他国よりより多くの金銀を獲得しようとするもの)の誤りとその理由
・競争に必要なのはフェアプレイ
・フェアプレイ精神を持つ利己主義は世の中を豊かにする
 →このあたりは地球環境の限界を感じる現代からすると100%同意できない感じ
・市場は富を媒介して見知らぬものどうしが世話を交換する場
・『国富論』の原題は「Wealth of the nation」ではなく「Wealth of nations」=複数形
・政府介入を強く主張しなかったのはすべての取引の監視が不可能であること、政府自身が腐敗する可能性があると考えていたから
・富と幸福の関係(P83 図2-1)
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引用されていて気になった本
 『ホガースの銅版画-英国の世相と諷刺』森洋子(岩崎美術社1981年)
 『アメリカ独立戦争』友清理士(上下巻 学研M文庫2001年)
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by vamos_tokyo11 | 2009-03-17 23:38 |


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