『資本主義は嫌いですか』 竹森俊平

 う~ん、イマイチ。期待が高かっただけにがっかり。

4532353262資本主義は嫌いですか―それでもマネーは世界を動かす
竹森 俊平
日本経済新聞出版社 2008-09



 昨年の9月が初版の本。当然2008年のサブプライム・ショックをネタにタイムリーに脱稿したつもりなのだろうが、実際はこの直後の10月にリーマン・ショックがやってきた。それ以前の流れは実は前段に過ぎなかったということを知っている「未来」にいる自分からすると、「やっちまったなー(笑)」という感じのする本だ。

 そもそも、竹森氏の本は『1997年-世界を変えた金融危機』を読んでいて、その後『世界デフレは三度来る』の上巻まで読んでいたので(下巻はつまらなくなってやめた)、それなりに今回の本も期待していた。どっかで評価もよかったので。

 しかし蓋を明けてみると、先の2冊より仕事が大雑把というか、自分にとっては興味が湧きにくい内容がならんでいた。第1部では世界中の住宅バブルを題材に、なぜ起こったのかどうだったのか、という様なことを書いているが、ご自身の理論というよりもあちこちから引用しているだけ。第2部も学会では3年前からバブルって言われてましたよ、という様なことを書いているのだが、これもご自身が行かれてない学会の議事録から引用しまくって要約しているだけ(新聞かよって感じ)。第3部は流動性とはなんぞやというところから話を膨らましているのだが、なんかまとまりがない。つまり、いろんなところで言われていることを解説してあげましょう的な本なのだ。




 で、あちこちで「?」「ほんとうか?」「そもそも前提がおかしいんじゃないの?」と感じるところも多く、なんとも不親切な感が否めない。

 さらに、この箇所ではまさに「そもそも前提がおかしいだろ」と思って読み進めてたところにポロっと本音が出ててちょっと呆れた。

 p123
 発展途上国(エマージング国)には金融ネットワークや政府のセーフティ・ネットといった、先進国が普通に備えている制度がない。そのため当該国の国民は自国に投資をせず、貯蓄に走り、貯蓄が過剰となるということをグリーンスパンの『波乱の時代』から引用した上で次のように続けている。

(引用)
 しかし、これを読んでいると、果たして「所得を上回る支出を可能にする」のが、進歩なのかという、素朴な感慨に取りつかれる。「規律」を重視するロゴフのような立場からすれば、これこそが堕落の第一歩なのである。もしかしたら、正しい道を選択しているのは、「金融ネットワーク」や「政府のセーフティ・ネット」を持たない発展途上国の方で、先進国はそのような危険なものを持ったがゆえに、腐敗、堕落への道を歩んでいるのかもしれない。
(引用終わり)

 もっともである。常に労働者はそういったことを感ぜずにはいられない。だがあんたがそれ言っちゃおしまいだろという感じ(笑)。ここまで言っておいて、これ以上このことに関する考察はないし、そもそも先進国のそういった「危険なもの」を前提にこれまでのページもこの後のページも書き続けているのだ。現状を説明しているんですと言われれば「あーそうですか」で済むのだが、学者として何か根本から間違ってないかと問いたくなる。

 そして最後にはこんな締めくくり。1930年代の金融危機を引き合いにだして、金融の「規制の緩和」が行われ、その後には再び「規制の強化」が行われるだろうといい、最後にはこんな言葉で締めくくっている。

(引用)
 p278
 ・・・・・まあ、歴史とはこの繰り返しだと考えたほうがよい。
(引用終わり)

 なんだかなぁ。。。

 冴えない本だった。この人の本はしばらく手にとらなそうだ。
[PR]
by vamos_tokyo11 | 2009-04-12 00:20 |


<< 第5節 FC東京×鹿島 連動性の差 府中桜祭りとFC東京キッズクラブ加入 >>