『日はまた昇る』(←これは読んでない)の作者の本。
アジア三国志
ビル・エモット (訳)伏見 威蕃
日本経済新聞出版社 2008-06-06
これからのアジアが世界がどうなっていくだろうかというのを中国、インド、日本の関係を軸に書かれた本。これからについてはもちろん書かれているのだが、それよりも自分が感心した、ためになったのは、これら三カ国の近現代史について非常に細かく書かれていて、それがまた公平な視点で(かなり注意深く)記述されているところだ。何よりも勉強になった。従軍慰安婦、731部隊、南京大虐殺に対して日本人がなぜ正面から向き合えないかを東京裁判のスタンスから説明していたり、靖国問題にまで踏み込んで、さらにその解決案まで提示しているのがイギリス人(著者)だということ。単純にスゲー!と感心してしまった。と同時にちょっとここまで理解していない自分が恥ずかしかったりする。
その他に、当然にここまで詳細には知らなかった中国とインドの国境問題やその歴史的背景や、民主主義であるがゆえに経済成長が中国に比べて圧倒的に遅いインドのことなどなど。ほんとうにこの説明を読んだらBRICsとひとくくりにするのがおかしいほどにインドはどうしようもない(笑)。とはいうもののこの四カ国はどれをとってもアクが強くてクセだらけなのだが。
本当ならば付箋を貼りながら、あとから気になったところを書き出したかったが、今回はそれをしなかったので印象レベルの記述まで。ちょっともったいないことをした。勉強になった本だったし折りに触れて読み返す教科書みたいな使い方が良さそうな本。