壮大な人類史!
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
Jared Diamond (訳)倉骨 彰 草思社 2000-09
アステカやインカ帝国がスペイン人滅ぼされたが、なぜその逆では無かったのかということを、人類誕生の歴史から遡って検証している本。とにかく壮大。
実はこの本、読んでから数ヶ月経っていて記憶が曖昧になっている。そんな中でも記憶に残っているエピソードはアステカ滅亡の話。
アステカ王国を滅ぼしたピサロの軍団はもの凄い数が少ない状態で皇帝アタワルパとその軍を圧倒する。騎馬と銃とで数の劣勢を跳ね除け、アステカ軍は逃げ惑い殺戮された。とはいえ、軍よりも破壊力があったのが病原菌。家畜を飼う習慣がなかった南米にヨーロッパから家畜が持ち込まれ、家畜の持つ病原菌に全く抵抗力・免疫のない南米の人々が死んでいった。また、なぜ南米に家畜がほとんどいなかったかというと、南米には家畜に適した動物がいなかったからだということを考察している。このようにある事実からそれを遡って究極の原因を突き止めていくのがこの本のすごいところ。(このエピソードは
こちらに詳しい)
その他にも南北よりも東西の方が文化(農作物)の伝播が早いこと。オーストラリア大陸には栽培する適切な作物がなかったということ。狩猟から農耕へ移行することの説明。農耕における栽培に適した作物のピックアップとそれを育てることによる品種改良チックな話。南太平洋に広がる島々が長い間、大陸の文化と隔絶していたことにより未だに原始的な文化が残っていること。
知的好奇心をくすぐられ、とにかくワクワクする本だった。
これはいろいろ調べていて見つけた
NHKのサイト。
太陽の子エステバンを思い出した。
おまけ
先週末にいきなり話題騒然の豚インフルエンザ。ウイルスが変異して、人間に免疫がなくて大流行するという話は、まさにこの本に出てくる「病原菌」のはなしそのものだ。過去の話ではなく現在も、そして未来も病原菌の問題は人類史に影響していくということをリアルに理解せざるを得ないし、他人事ではないということがわかった。
カバー絵がかっこいいので貼り付け