『ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前』 塩野七生

 『ローマ人の物語(6)(7) 勝者の混迷』の続き。

4101181586ユリウス・カエサル ルビコン以前(上)ローマ人の物語8 (新潮文庫)
塩野 七生  新潮社 2004-08-30

 久々に続編。文庫本3冊。いやー、おもしろい!ここまでのところ、シリーズでは『ローマ人の物語(3)(4)(5) ハンニバル戦記』に続く面白さ。「ブルータスおまえもか」と「ルビコン川を渡る」で有名なガイウス・ユリウス・カエサル、英語名ジュリアス・シーザー。思えば中学生の頃だかに歴史の教科書に2つの名前があって「あーわからん、なんで二つも名前があるんだ」というのが世界史を嫌いになった始まりのような気がする(笑)。他にも地域ごとにある程度まとまって進み、違う地域の説明になるとまた年代が遡ったりして頭が混乱したのが嫌いになった理由だったのかもしれない。

 そんな世界史に疎い自分にはとても勉強になる本。でも勉強としてではなく読み物としてとても面白い。日本が稲作をようやく始めたころと思われる紀元前1世紀に「ガリア戦記」を記すような人がイタリア(正確には駐在していたガリア)にいたとは文明の差に驚く。




 前巻『勝者の混迷』の一部に若きカエサルが出てくるが、この本ではカエサルの生まれから、まさにルビコン川を渡ったところまでが描かれている。そもそもカエサルが何をやった人かよく知らなかったので、多少なりとも理解できたのはよかった。カエサル以外にもキケロや小カトー、ポンペイウス(これは主役級)など脇役が魅力的に書かれていて、お話を盛り上げている。

 おもしろさの他にも疑問が残った。そもそも彼はどうしてここまで政治の中心として頑張れたのだろうか。野心と虚栄心が人一倍大きいのだと塩野婆は書いているが、それだけなのだろうか。ガリアで何年にも渡って戦い続けられたのはなぜなのだろうか、というのがイマイチ理解できなかった。執政官になったのち、ガリア制圧に向けて進んでいくところがあまりにも当たり前のように淡々と描かれていて(というか描かれていなくて)、その辺りの時代背景の説明が欲しい気もした。もちろん北からの異民族の侵入を防ぐことが国防上の重大事項であったことはわかるのだが、それにしては何年もの長い期間、深いところまでガリアを駆けずり回っている犠牲は大きすぎるのではないかと思った。それほどまでにガリア制圧が重要だったのだろうか。

ユリウス・カエサル ルビコン以前(中)ローマ人の物語9 (新潮文庫)
塩野 七生
4101181594

ユリウス・カエサル ルビコン以前(下)ローマ人の物語10 (新潮文庫)
塩野 七生
4101181608


(関連リンク)
『ローマ人の物語(1)(2) ローマは一日にしてならず上下』
『ローマ人の物語(3)(4)(5) ハンニバル戦記』
『ローマ人の物語(6)(7) 勝者の混迷』
[PR]
by vamos_tokyo11 | 2009-04-29 02:13 |


<< 第8節 G大阪×FC東京 ダイ... 『鉄・銃・病原菌』 ジャレド・... >>