『バブルの物語』 ジョン・ケネス・ガルブレイス

 歴代のバブルの話が集められた小エッセイ集。著者は『大恐慌1929』のガルブレイス。昨年のクラッシュを受けての1991年版の再版。

4478007926新版 バブルの物語
鈴木 哲太郎
ダイヤモンド社 2008-12-19



 1630年代のチューリップ狂@オランダ、1720年のジョン・ロー@パリ、1720年のサウスシーバブル@ロンドン、1800年代のアメリカ、1929年の大恐慌、1987年の暴落、1990年の東京などがちりばめられている。

 バブルは資本主義に組み込まれているものなので、これからも何度も起こるだろうというのが著者の見解なのだが、これまでの歴史を見る限りこれは間違いないのだろう。またレバレッジと呼ばれている投資手法は大昔からあり、チューリップ狂の時代にも「てこ」は利用されていた。いつの時代も「てこ」によってバブルが発生していることがわかった。




 このような避けがたい事態に対してなしうることとしてP154に書かれていることはいたってシンプルだ。

(以下要約開始)
 金融上のいかがわしいことを無くすことや、人々の陶酔的熱病を規制によってなくすことはできない。現実的に唯一できることは高度の懐疑主義だ。明白な楽観ムードがあれば、それは愚かさの表れだと決めてかかれるほどの懐疑主義、お金を得ることは知性とは無関係であると考えるほどの懐疑主義だ。
 さらにもうひとつは、興奮したムードが市場に広がったり楽観ムードが広がるとき、特別な先見の明による独特の機会があるという主張がなされるときには、良識あるすべての人は渦中に入らないほうがよい。これは警戒すべきときだ。
(以上要約終わり)

 このように、この本に書かれていることは当たり前と思われるようなことしか書かれていない。だからたいして面白くもない。ただ以下の2点においては視点が少し異なっていて面白かった。

 P84にあるように、アメリカの独立戦争の戦費は「てこ」により発行された「大陸紙幣」によって支えられていたとのことだし、その後に発生した鉄道への熱狂も、バブルは破裂したがあとには社会的インフラが残されたわけなので、すべてが害悪とは言い切れないのではないかと感じる。そういえば現に我々が安価な値段でネット生活を営めるのも、20世紀末から発生したITバブルがあったからこそなのだろう。誰かが犠牲になるからこそ世の中が便利になっていくということか。

 ガルブレイスは金融の記憶はたった20年しか続かないと書いているが、今を生きている身からすると20年は長いな・・・と思わずにいられない。現代なら3年くらいで忘れ去られそうだ。次のバブルはいつ起こるのだろうか。

 ※これを読んだのは春先だったのだけれど、あの頃に比べると昨年のリーマンショックがもうだいぶ前のような話の感じがしてきたのは僕だけだろうか(もうすぐで1年経つ)。自分の勤め先のことを考えても、景気がよくなった感じなんて全然ないのだが、日本の株価もそろそろと上昇し始めていて昨日の新聞にはバブル後最安値から40%の上昇なんて記事もあった。
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by vamos_tokyo11 | 2009-08-09 04:31 |


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