『中国臓器市場』 城山英巳

 タイトルのとおり。臓器移植に関する生々しいルポ。

4103080817中国臓器市場
新潮社 2008-07



 中国はアメリカについで世界で2番目の臓器移植大国だそうだ。そしてその臓器がどこから提供されるかというと死刑囚から。死刑判決の多い中国では、若い臓器が比較的大量に供給され、そのため外国人が大勢中国に移植を求めにやってくるという。死刑執行の管轄は裁判所であるため、裁判所と通じている大病院の医師が金銭目当てに移植を行っている(いた)らしい。移植を希望する病人と病院の間にはブローカーが存在し、その臓器の値段は世界的な批判を受けた結果、高騰しているとのこと。

 死刑囚からの臓器提供は本人の臓器提供意思の確認に問題があるとして、海外各国からの批判を浴び、中国は外国人への移植手術を停止していた時期もあったらしい(2007年頃)。ただ現在は復活していると記述されている。




 本の中には日本人ブローカーが登場する。ビジネスとして成功しようとしているもの、NPO法人として日本の患者を救おうとしているもののふたりだ。彼らを中心に話が進められているので、移植マーケットの流れや、時間が進むごとに中国が規制を行ったりしていくさまがよくわかる。

 日本の医師は中国で移植して来た患者に対して診察をしたがらないらしい。実際に診察を拒否した場合、それは法的には問題(医師法違反)なのだが、宇和島臓器売買事件以来さらに多くなっているらしい。臓器提供者と臓器を必要としている患者の数のつりあわなさは尋常ではなく、重病患者(移植が必要なだけで既に重病だが)はただ死を待つのみということもあるらしい。こういう状況ではきれいごとだけでは決着がつかないことは明白だ。だからこそなかなかすべての方面から賛同を得られる案も出てこない。

 某所でこの本のことを知り、興味本位で読んでみたいと思っていたのだが、実際に読んでみると単なる中国のおどろおどろしい世界の話ではなく(それだけでももの凄く濃い話ではあるが)、日本で移植を切望している患者の気持ちがよくわかった。そもそも私の周りには(幸いにして)腎臓や肝臓の移植を希望している知人もおらず、それらに対して全く無自覚・無知だった。こういう重い病にいる人たちがどれほど移植を切望しているのかを考えたこともなかった。しかし、移植をしないことで死を待つしかないという現実や、日々どれほど苦しい思いをしているかということがわかった。自分や家族にこれらの病が降りかかったら、果たして自分はどう動くかということを考えることができたことはよかった。自分にできることはあるのだろうか。ドナー登録くらいしておくべきか。。。


宇和島 腎移植(愛媛新聞)  すごいURLだな。。。

宇和島臓器売買事件

この本にも出てくるNPO法人


(社) 日本臓器移植ネットワーク

ここのホームページに出てくる数字を見ると、患者側からすると絶望的な数字だ。
2009年の状況4月末日現在
移植希望登録者数・・・・・12,240人
脳死下で提供された方・・・・・5人
心臓停止後に提供された方・・・・・49人
移植を受けた方・・・・・112人
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by vamos_tokyo11 | 2009-08-13 23:38 |


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