『悩む力』 姜尚中

 これは良い本。なんだか懐かしい感じがした。

4087204448悩む力 (集英社新書 444C)
集英社 2008-05-16



 中学・高校のときに誰もが悩むであろうこと、「自分」という存在が何であるか、そしてその周りへの疑問などが著者の悩みから普遍化されて語られている。とてもわかりやすく、そして強く共感できる本だった。

 小学生の頃(多分6年生だったと思う)、塾の帰り道に夜空に浮かぶ星を見ながら、自分はどこから来たのだろう、自分は何者なんだろう、自分の祖先を辿っていくと何になって、地球ができる前はどうなっていて、宇宙はどうしてできたんだろう、ということを考えてるうちに訳が分からなくなってしまったことを思い出した。自分が明日死んだら誰かに影響が出るんだろうかとか、誰か悲しむ人はいるんだろうかとか、そういったことを感じていたことも思い出した。そういう気持ちを思い出したということで懐かしい感じがした。

 この本の流れのひとつになっている、夏目漱石とマックス・ウェーバーの話にも非常に興味を持った。特に高校生か大学生の頃に『こころ』や『それから』を読んだけれども、「先生」の死に対する意味を著者のような見方で考えたこともなかったし、細かいところは忘れてしまっているので改めて読んでみたいと思った。




 各章ではそれぞれの悩みに対してヒントになるようなことが書かれているのだけれど、第6章にあるなぜ働くのかという悩みに対して、それは人間が社会的動物として他者からのアテンション(承認)が必要だからだということが書かれている。

 ところでこの章ではNHKで放送されたホームレスの若者が道路清掃で通りすがりの人にねぎらいの言葉を掛けられて、自分を取り戻していく話が例として上がっているのだが、私もこれを見た記憶がある。で、そのときはあまり何の感慨もなく「こういう人もいるのかぁ。どうしてこうなってしまったんだろうなぁ」くらいにしか思っていなかったのだが、違った観点で番組を見てる人もいるのだなぁと、全然違うことに感心した。

 第8章にある「なぜ死んではいけないか」の問いは根源的だが非常に難しい。ここでも相互承認、社会的な人とのつながり、が出てくるのだが、つまるところ人間は社会的動物なのだから、他者としっかりつながっていかないとおかしくなる(鬱になったり、秋葉原殺人事件のような危ない人間が増えたり)ということ(なのかもしれない)と理解した。結論を書いてみると「当たり前だろ」と言われそうだが、月に何度かはスタジアムへ行ってサッカー観ながら友達と楽しく語らうってのは精神衛生的に実はとても大事なことなんだなぁ、と再認識したりした。

 著者のことはテレビでまともに見たことがなかったが、今度見たらちゃんと話を聞いてみようと思った。適当な言葉が思い当たらないが、この人、カッコいいと思った。
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by vamos_tokyo11 | 2009-09-21 23:01 |


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