『科学の扉をノックする』 小川洋子

 いい本でした。(読んだころは夏だったかな・・・)

4087813398科学の扉をノックする
集英社 2008-04



 阪神タイガースのトレーニングコーチの話はさておき、それ以外については非常に興味深く子どものような気持ちで読めた。高校時代に数学に挫折して理系の人への憧れを持ちつつ、科学の話が大好きなのでこの本はジャストフィットした。著者は『博士の愛した数式』(読んだけど感想文なし)の人。

 もっとも良かったのが3章「命の源 ”サムシング・グレート”」。前回の『悩む力』で書いた「自分は一体どこから来たのか」に通じる話を科学的側面から追い求めているような記述が出てくる。村上和雄博士の言葉(P83)。




(以下引用)
 「サムシング・グレートの私の定義は非常に簡単なんです。私たちには親がいますよね。これは絶対に間違いない。親にも親がいたでしょう。遡ってその一番先までいきますと、親のようなものにぶち当たらざるを得ないんです。一番先が石ころであるわけがない。これだけ素晴らしい設計図を書いたのが、単なる原子と原子の集まりとは考えにくい。ですから私のサムシング・グレートの定義は、すべての命の元となるような親のようなもの、ということです。石ころから生まれたというよりも、大きな生命があって、そこから私たちは生まれ、死んだらまた大きな生命に戻ってゆく、と考える方が合理性があるんです。(中略)ましてや私たちの身体は60兆個の細胞から成っているんですよ。どうしてそれらが喧嘩もせずに、見事にコントロールされているのか。サムシング・グレートに聞いてみなければわからないんです」」
(引用終わり)

 ちょっと引っかかるがおもしろい。引っかかるのは大元は原子と原子の集まりではないというところ。地球は宇宙の中でできあがったと理解しているので、生命体が突然降って湧いたようなサムシング・グレートの話には少し引っかかった。

 でも”死”に対する言葉はとてもしっくりきた(P88)。

(以下引用)
 「生死はペアです。(中略)私たちの身体の中では大変な勢いで、見事に細胞が死んでいるんです。プログラム死です。プログラムどおりに死ななければ、プログラムどおりに生まれない。そのバランスを見事に取っている。だから私たちは常に、生きて、死んでを繰り返しているんです。新たな命のために役目を終えたものは死んでゆく。それが自然の摂理、サムシング・グレートの偉大な力です」


 さくさく読めるので気分転換にもオススメ。
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by vamos_tokyo11 | 2009-12-20 22:37 |


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