面白くなってきた。
ローマ人の物語〈29〉終わりの始まり(上) (新潮文庫)
新潮社 2007-08
思えば21巻からは中だるみがあった。特に21~23巻はつらかったなぁ。ローマ帝国がどのようにして滅びていったかを知りたいと思って読み進めているので、ここにきてにわかに話が盛り上がってきた感がある。帝国の頂上である賢帝の世紀があれば、当然そのあとは下り坂にさしかかる。書きすすめ方がうまいのか、下り坂のリアリティがすごい。帝国は広いため、そこかしこで様々な問題点が噴き出してきて、それぞれにたいして収拾がつかなくなっていくところが恐ろしくもある。
ドナウ以北のゲルマン民族が徐々に帝国を脅かしていく。これまでもあった蛮族との戦いも、徐々に押し込まれ方が激しくなる。ゲルマン民族大移動は375年と覚えているが、突如として大移動があったわけではなく、常に脅威として存在していたということだ。カエサルがガリアを平定する以前からの問題であったが、それが3世紀終わりごろになると明確な脅威として、イタリア諸都市まで侵攻されるようになった。それが描かれているのがこの時代。つまり375年にはまだ100年ある時期に頻繁に脅かされていたのだ。これを知れただけでもよかった。
ずーっとローマになかった城壁が再度構築されたのもこの時期。この物語の最初の方にも書かれていたのだが、ついにここまで来たのかと、続きにわくわくする展開になってきた。我慢して読んでいた後だけに「終わりの始まり」だっていうのにだんだん面白くなってきた(笑)
ローマ人の物語〈30〉終わりの始まり〈中〉 (新潮文庫)
新潮社 2007-08
ローマ人の物語〈31〉終わりの始まり〈下〉 (新潮文庫)
新潮社 2007-08