『東大で教えた社会人学』 草間俊介(+畑村洋太郎)

 これは結構有益。でも20代前半向けだなぁ。せめて30くらいまでに読みたかった。

4167746018東大で教えた社会人学 (文春文庫)
文藝春秋 2008-02-08



 東大工学部で実際に行われている講義がまとめられている本。著者は東大工学部卒業後、商社(阪和興業)へ入社し、のちに独立した人。すごくよくまとまっていて、これでこの値段、内容というのは安い。ほんとに何回かの授業の内容をノートにしているような出来上がりで、まとまりかたも秀逸。このまま読んで授業にできそうなくらいの仕上がりだった。ここに書かれているとおりの人生を歩むことはないし歩む必要もないのだが、少なくともこれからの人生で起こるであろうことが書いてあり「地図」として参考になるだろう。

 内容は工学部生が社会に出て働き始めたときに、会社で起こる様々なことがらについて予備知識をあたえるためのもの。会社での力学であるとか、転職することの判断基準であるとか、工学部生というか理系学生が陥りがちな研究没頭型の注意点であるとかが丁寧に述べられている。

 他にお金(税金や収入)のことなど、社会へ出ていくときに、実は誰も教えてくれないような内容がいろいろと出てくる。所得が2000万を超えるとかなり裕福になるが、それ以上増えても、増えた分だけの豊かさを実感できないらしい。そうなんだ、というしかないがおもしろかった。かわりに自分の時間がなくなるというのはよくわかるなぁ。それにしてもこういう話を授業でやってくれるなんて、いいところだな東大工学部は。

 実際に自分の年齢になると、会社生活も長くて実体験で学んで身に付いていることが多いわけで、この本の内容についてそれほど目新しいことはなかった。むしろ自分の考え方はだいたい合ってるんだなと答え合わせする感じで読み進めた。それだけに20代前半に読むと良い。会社に入る前はもちろんだが、特に入社2・3年目でまわりを見る余裕が多少出てきたときに読むと効果抜群だと思われる。実地に周りを見ながら感じられることが多いので。

 ということで良い本だが、自分にとってはちょっと残念な遅すぎる出会いであった。人によっては抜群に良い本だと思う。
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by vamos_tokyo11 | 2010-02-13 18:56 |


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