『ローマ人の物語 最後の努力』35~37 塩野七生

 ついにきた。

4101181853ローマ人の物語〈35〉最後の努力〈上〉 (新潮文庫)
新潮社 2009-08-28



 ついに崩壊が始まる。3世紀後半から4世紀にかけて、帝国が変容していく様をダイナミックに描いた巻。これまで皇帝がローマ市民と元老院の信任を経て成り立っていたものが、いわゆる専制君主的な、一般にイメージされる皇帝へと変わっていく。そしてローマ帝国そのものの本質が変わり始め、中世の始まりと言われる時代に突入する。

 帯みたいな記述をしたが、ローマ帝国が滅びるのはどうしてかというのを見るためにここまで読んできた身としてはこんな気分だ。と同時に、実はどうしても読みたかったものがこの巻の中に出てきた。やっとでてきた。

 それはディオクレティアヌスが作ったスプリットの宮殿の話。2006年にスプリットを訪れたとき、その宮殿城壁を利用してつくられたホテルに宿泊したことがあり、そこでローマ時代に皇帝によってつくられたというのが書いてあったので、そのころから「ローマ人の物語」を読んだらいつか出てくるかなぁと思っていた。そしてもう終わろうかというこの段になってやっと出てきた。(スプリット1スプリット2。いやぁ、今見てもスプリットはきれいだなぁ。。クロアチアというえばドブロブニクの方が有名だけど、こっちの方がこじんまりとしてる分、扱いやすいというか感覚的にしっくりくる感じなのを思い出した)





 話がずれたが、ディオクレティアヌスは蛮族から帝国を守るために帝国を東西4か所にわけ、東西に正副の皇帝を置き、4頭政を敷いた。これで蛮族の侵入をとどめることができたのだが、ディオクレティアヌス退位後に4人の実力者が連携して帝国を守っていくという体制があっさりと崩壊し、覇権を争って内戦に突入していく様は悲しくもあり、人間は結局自分のことしか考えないのかと思い知らされる。

 そして4頭政が2頭政になり、コンスタンティヌスが皇帝として君臨する。そこには一般的に想像される皇帝像が描かれている。すなわち、豪華絢爛、世界に唯一の皇帝であり、まさに中世以降の王様のイメージ。もはやアウグストゥスやトライアヌスの時代にあった、質素で堅実で常に市民を向いている皇帝像はここにはない。古き良きローマ帝国との別れであり、ここからきっと坂を下るように帝国は崩壊へと向かうのだろう。まさに「最後の努力」。寂しさいっぱいの巻だった。

4101181861ローマ人の物語〈36〉最後の努力〈中〉 (新潮文庫)
新潮社 2009-08-28



410118187Xローマ人の物語〈37〉最後の努力〈下〉 (新潮文庫)
新潮社 2009-08-28


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by vamos_tokyo11 | 2010-03-19 22:35 |


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