『クルマは家電量販店で買え!』 吉本佳生

『スタバではグランデを買え!』の続編。

4478007519クルマは家電量販店で買え!―価格と生活の経済学
ダイヤモンド社 2008-11-08



 軽自動車とコンパクトカーはどちらがお得かから始まり、いろんな価格の比較や価格が付けられている理由を経済学的に説明している。読み物としておもしろいのですいすい読めるし、へーなるほどとその業界でしか知らないようなことが書かれているのは興味深い。たとえば競合企業が不幸な値下げ競争を止められない理由(囚人のジレンマにより説明)であるとか、大学の授業料がどんどん高くなっていっていることの不思議さであるとか。

 ただ解せない点もある。モノの値段が下がっていってるのは、ただ単に企業がチキンレースをしているだけではなく、世の中的にモノの値段が下がらざるを得ない理由が構造的(経済のグローバル化による、より安いものの輸入であるとか)に存在するという部分も大きく、この本の中に書かれていることだけでは成り立たない。まぁ、ひとつの考え方(ツール)としてこの本を活用できればいいんじゃないだろうか。この本にすべてを見ようとしたり、見たつもりになっては(当然)いけない。ツールという意味ではオークションにおける「勝者の呪い」とか、セカンドプライスオークションとか知らないこともいくつかあったのでその点は勉強になった(勉強ってほどじゃないか。「へーそー」ってレベルか)。





 あと、著者なりにこうしたらいいんじゃないかという提言があったりていて、その点は好感が持てたが、安全性の問題がある中国食品の代わりに中国人を研修生として雇い入れて日本で中国人に食品を作らせているから、それは同じことじゃないか(要約)という論法には説得力がなかった。一見なるほどと思わせるが、管理しているのが誰で運営がどのようになされているかという点を無視した単純比較はこの問題に対しては成り立たない。経済学者がやりそうな観点で、問題に対するピントがずれていると感じた。本件のような記述もところどころあるので、そこについては自信の目でしっかり判断するようにしなくてはならない。こういう本をたくさん読むにつけ、なんでもかんでも「お金」に換算してしまう経済学的考え方を理解すればするほど、経済学ってものに疑問を感じる今日この頃だ。意外に直感って大事なんだよなぁ。
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by vamos_tokyo11 | 2010-04-22 23:57 |


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