『山椒大夫・高瀬舟』 森鴎外

 ちょっと趣向を変えて読んでみた。

4101020051山椒大夫・高瀬舟 (新潮文庫)
森 鴎外
新潮社 2006-06



 この本は短編集。『高瀬舟』が安楽死の問題を扱っているというのが記憶にあって、どこかで『高瀬舟』の話が出てきたので読んでみた。短編集の最初の話が『杯』という話。これがおもしろくない(笑)。純文学とはこういうものをいうのか?、森鴎外って初めて読んだけどこの本はやばいかもしれないな・・・、などと思いながらとりあえず本のタイトルの話から読むことにして、わずかに「読まず嫌い」を逃れた(笑)

 『高瀬舟』は非常に短い。たしかに安楽死の問題を扱っているのだが、扱っているだけであり、問題的をしているに過ぎない。つまり著者の意見が述べられているわけではない。明治のあの時代からこういった問題意識はあって、もっといえば話の舞台である江戸時代から、ひょっとすると太古の昔から、あったのかもしれない。放っておけば死ぬ人間に対して、苦しんでいるから介錯してやる、しかしその介錯で他人の命を絶つわけであるから殺人と同じであるという、その問題。これを医者である鴎外が書いているから意味があるのかわからないが、とりあえず何の結論も意見もないのがちょっと残念だった。

 『山椒大夫』は昔話みたいなもの。物語として面白かった。有名というか森鴎外の悩みを書いたと言われる『妄想』横文字(フランス語、ドイツ語、などなど)が文中に英字のまま紛れ込んでいて、「ルー大柴かよ!」と突っ込みたくなるほどだった(笑)。あの時代、日本語にまだなっていないような単語があったのかとも想像するが、どうもちょっとそういった感覚ではない感じがする。だって他の話ではこんなことないから。

 他の話もいろいろあるが、まぁなんだろう、自分的にはちょっとしたヒマつぶし程度にしかならなかった。『高瀬舟』『山椒大夫』を読めて満足したので、他の短編よりはむしろ『舞姫』(ドイツ留学中に鴎外の恋人となったドイツ人が、鴎外に会うために日本までやってきたという実話に基づいた話らしい)を読んでみたいと思った。
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by vamos_tokyo11 | 2010-08-07 18:43 |


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