『そうか、君は課長になったのか』 佐々木常夫

 ワークライフバランスで脚光を集めている東レ経営研究所社長の本。

4872904494そうか、君は課長になったのか。
佐々木 常夫
WAVE出版 2010-02-20



 佐々木常夫さんについてはこちらを参照(リンク先のコラムも面白い)。リンクを読めばとにかく常人の想像を超えるような人なんだろうということが分かる。どんな人かというのはリンク先のご自身の紹介を読んでほしいのだが、私が佐々木さんを知ったきっかけは会社での紹介だった。今の世の中、どこの会社でもワークライフバランスが課題になって来ていると思うのだが、そういう時代になる前にこれを実践していたこの人は、本当に優秀な人なのだろう。

 本の作りからも想像がつくのだが、著者は『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』(キングスレイ・ウォード)に傾倒している。その絶賛ぶりはまさに著者にとってのバイブル。たまたま私はこの本を今年の2月に読んだのが、確かに心に残る本だった。だが、ここまで強く心に残ったわけではなかったので、もう一度読み直してみようと思う。著者の言うとおり乱読がいいわけではなく、真に良い本を精読する方が自分のためになるだろう。

 一番よかったのはダイバーシティの真の意味をちゃんと理解できたこと。会社で説明文を読んだらたしかに似たようなことが書いてあるのだけれど、全然理解してなかった。会社の研修がちょっと「個人個人を尊重する」というところに偏ってるんだろう、きっと。(私が理解した”真の意味”は下に書いています。)

 以下は本にあるアドバイスをメモ。




p72 部下の育て方
 「君は部下の成長にコミットする力をもっている、ひとりの人間の人生を変える力をもっている。(中略)だから、これは大事業です。生半可な気持でできる仕事ではありません」
 「部下にやりがいを与えてあげるのは、課長の大事な仕事なのです」

 「粘り強く指導することによって、仕事の遅い人、要領の悪い人の効率を上げることでチーム全体の仕事の成果を上げる」
 「重要なのは個人のモチベーションを高めること。仕事の結果に差をもたらすのは、能力と言うよりは熱意だからです」

p83 日本人はチーム下手、コミュニケーションをしっかりとる
 「家族なら黙っていてもお互い理解しあえると思ったら大きな間違いです」
 「要所要所で念入りにコミュニケーションをとる手間をかけることで、ロスは大幅に減るのです」

p116 ダイバーシティの真の意味(この説明はすごくよくわかった)
 「ひとつのカラーに統一しようとする圧力の働くチームというのは極めて脆弱」
 「モノカルチャーに相対する考え方がダイバーシティ」
 「異質な考え方の提案によって、組織の中にコンフリクト(対立)が起こり、既存の考え方の検証が行われ、それがイノベーションを起こす」
 「だから、”異端児”はいかさなくては損」

この記事を読んだ時にこれを思い出した。まぁ、98年のフランスも同じこと(人種の多様性があって強い)を言われてたけどね。

p132 ”部下を守る”を勘違いしない
 「正面の理、側面の情、背面の恐怖」(by 中坊公平)

p140 仕事を円滑に進めるためのテクニック2つ
 「2段上の上司を攻略する」
 「本当の実力者を見極める」
 「私は「幼稚園で習ったことをできるだけリーダーになれると」と常々言ってきました。「誰とでも仲よくする」「仲間はずれをつくらない」「悪いことをしたあ誤る」「困っている人がいれば助ける」こうしたことをきちんとやっていれば、自然と社内人脈が広がり、君を助けてくれるようになるのです」

 結構このあたりの記述は著者が栄達を遂げていった理由の一つだと思う。結構ドロドロしたことが書かれていてリアリティを感じた。

p162 東レ社長の話がすごい
 「私は30代のときから社長になるつもりで仕事をしてきた。いつも社長ならどう考えるか、どう行動するかを考えてきたから、もう20年間も社長をしてきたようなものだ」

p166 社外の人と付き合う
 「『社内の常識は世間の非常識』ということを肌で学ばせてもらえる

p171 著者が精読した本
 『散るぞ悲しき栗林忠道』(梯久美子・新潮文庫)
 『驕れる白人と闘うための日本近代史』(松原久子著、田中敏訳、文春文庫)
 『プロフェッショナルマネージャー』(ハロルド・ジェニーン プレジデント社)

おまけ
 佐々木さんの本に『ビッグ・ツリー』というのがあって、読んでみようかと思ったのだが、アマゾンの書評で、「仕事の分をもっと奥さんに振り向けていたら、奥さんはこんなに重症にならなかったんじゃないだろうか」というのがあり、その考え方に得心したので読むのをやめた。要はその人その人にあったバランスが大切なんだから、自分のバランスでものを考えればいいのだ。著者のHPで経歴とかはわかるので、だいたい本の内容に想像がついたってのもあるが、自分とは違う生き方をする人の自伝みたいなものだから、きっと『ビッグ・ツリー』は自分には不要な本だと解釈した次第。
[PR]
by vamos_tokyo11 | 2010-08-12 19:36 |


<< 『サッカーを100倍楽しむため... 第17節 FC東京×名古屋 茫... >>