『ローマ人の物語 キリストの勝利』38~40 塩野七生

 ラス前。文庫本は年1回(3分冊)刊行なので来年で最後。

4101181888ローマ人の物語〈38〉キリストの勝利〈上〉 (新潮文庫)
塩野 七生
新潮社 2010-08-28



 やっぱり最後の方になってきて悲しい感じの本になってるのは仕方がないこと。それでもこのシリーズを読み続けているのはローマ帝国がどうやって終焉するかを知りたいという一点に尽きる。もはや娯楽本としての楽しさもほとんどなくなっている(苦笑)。

 今回の巻を読むにあたって興味津々だったのが、中学生の頃に「ゲルマン民族みなごろし」と覚えたゲルマン民族大移動(375年)で何がどうなったのか、ってことだったのだが、なーんにも描かれてなかった(笑)。むしろこの年代の前後でバルカン半島を蛮族に制圧されて、帝国が真ん中で割られてるという異常な状態が出現。これによって、ついに帝国が崩壊し始めてることが地図の上からも明らかになっていった。375年というのはこの前後の動きを含めたすべてのことだったのかなぁ。この辺りはググって確認するしかない。

 また、本のもうひとつの中心は、もちろんキリスト教の浸透について。コンスタンティヌス大帝のミラノ勅令以降、加速するキリスト教化のなか、ユリアヌスの抵抗などは興味深かったが、やり方のまずさもあって世の中の流れには勝てなかったということもよくわかった。ユリアヌスが奇跡的に優秀な人物であったとしても歴史の流れを変えられることはなかったのだろうか。そんなことを考える。




 皇帝が洗礼を受けると、洗礼を与えるキリスト教の司教の方が上位になってしまい、その地位を使いこなして実質的に皇帝を操れるようになるアンブロシウス司教の話なども面白い。

 このシリーズの初期の頃から塩野さんは、古代のローマは多神教国家であるからこそ、日本人である自分の方が現代のヨーロッパ人よりも古代ローマ人の心に迫ることができるということを繰り返し書いてきた(実際、私もそう思う)。そのローマがついに一神教に支配され、帝国自体も崩壊寸前という状況になってきて、なんか寂しさ漂う物語の終盤になってしまった。次の最終巻(文庫本発売は来年だろう)は楽しみ、というよりも寂しい最後になりそうだ。

4101181896ローマ人の物語〈39〉キリストの勝利〈中〉 (新潮文庫)
塩野 七生
新潮社 2010-08-28


410118190Xローマ人の物語〈40〉キリストの勝利〈下〉 (新潮文庫)
塩野 七生
新潮社 2010-08-28


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by vamos_tokyo11 | 2010-12-24 23:55 |


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