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『ザッポス伝説』 トニー・シェイ

これは面白かった!久々のヒット!!

447801373X顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか
トニー・シェイ 本荘 修二 監訳/豊田 早苗 訳/本荘 修二 訳
ダイヤモンド社 2010-12-03

by G-Tools

 Zapposという名前は『フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略』を読んだときに出てきて、靴の通販で気に入らなければ配送料無料で返品できるということを知ったくらいだった。が、この本を読んでとにかくZapposそのものに強く興味を持った。それに、何よりこの本に出てくる話が面白いのだ!

 この本はZapposのCEOであるトニー・シェイが子どもの頃の話から始まる。この子どもの頃の話が面白い。彼はすでに小学生のころから「起業」している。それも何度も!これを読んでると根っからの起業家であることが分かるし、ハーバードを卒業してオラクルに入社したあと4ヶ月で退社して会社を立ち上げるのも当然だろうと思ってしまう。2年後にはその立ち上げた会社:リンクエクスチェンジ社を2億6500万ドルでマイクロソフトへ売却(1999年24歳のとき)。こういう人はまたここで立ち止まらない。何といってもここまででわずか紙幅の4分の1に過ぎないのだから。(ここまで読むのが、もう小説を読んでるかのように楽しくて、ガンガン進んでしまう)

 で、Zapposをどのように立ち上げて、投資して、潰れそうになって、とかキリマンジャロに登ってとか、相変わらず小説みたいな勢いで書かれている。9・11があったり、ドットコムバブルが弾けたりした時代をなんとか乗り越え、ついに会社が黒字になり、キャッシュフローも黒字になるところまででこの本の約半分。いやー、すごく楽しかった。

 本の後半は、会社がさらに成功を積み重ねて大きくなっていく過程で、トニーがどのような信念に基づいて会社を運営していったのか、ということが書かれている(この辺からビジネス書っぽくなる)。そのうちそれが言語化されてZapposの10のコア・ヴァリューというのができあがるのだが、ネット上に溢れているのでこれは割愛。最も心に残ったのが失敗を次に活かしていること。前に作った会社であるリンクエクスチェンジで失敗したことは、会社の拡張を急ぎ過ぎて企業文化をないがしろにしてしまったということ(ある日会社に行きたくなくなったそうだ)。この反省を活かして、一緒に働きたい人だけを雇うということがZapposでは大事にされている。自分が育てた会社が2つとも大きな成功をおさめるだけでもすごいのに、前の会社で失敗(これを失敗というのも凄いのだが)したことを次に活かしているというのがなんとも。

 そして2009年にはZapposはアマゾンに株式交換(12億ドル以上)で買収してもらう。「買収された」とか「身売りした」などのネガティブな表現はふさわしくないことが本を読むと良くわかる。ジェフ・べゾス(アマゾンのCEO)とトニーの考え方が良い化学反応を起こしていたことがわかる。ビジネス書としても役に立つのだろうが、なんか読むだけで前向きになれて、良いことをしたくなるような、元気が出る本だった。Zappos、日本で営業してほしいなぁ!

 あとはメモです。自分にとって、とても重要なメモ。




本書に出てきた気になる本

『人生を変えた贈り物 あなたを「決断の人」にする11のレッスン』アンソニー・ロビンズ
『The Fred Factor』 →『フレッドが教えてくれた仕事で一番大切なこと』
『Fish!』 →『フィッシュ!―鮮度100%ぴちぴちオフィスのつくり方』
『フロー体験 喜びの現象学』
『Happiness Hypothesis』(未訳)
『HAPPIER―幸福も成功も手にするシークレット・メソッド ハーバード大学人気No.1講義 』
『ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則』 →有名ですね。
『Tribal Leadership』(未訳)
TEDでも講演しているらしい →『http://www.ted.com/search?q=Zappos


P200
「私たちは、自分のコア・コンピテンシーを決してアウトソースしてはならないということを学んだのです。オンライン小売企業として、最初から倉庫業務を自分たちの中核として考えるべきでした。」

 一度は誤ったがこれが問題だとすぐに動き出したトニーたちの判断は優れているし、その後の対応も見事。これはザッポスだけの問題ではなく、すべての企業にあてはまるはず。

P271
社員マーサの回想
 「ワオ!」という驚きの体験を届ける、という社是が私生活にも浸透している一例。すごいし、こんなことってほんとに楽しい。

 海外旅行中にお金がなくなり空港で飲み物をおごってもらうという親切を受ける。(「ワオ!」を体験)
→ドラッグストアでの買い物中に、他のお客さんの商品を買ってあげる。(「ワオ!」を与える)
→次にそのドラッグストアに行ったときに店員に「いらっしゃいませ、マーサさん」と挨拶をされる。
つまり「ワオ!」と驚かされるお返しが返ってきた。

 他にも普通じゃ社外に出さないような社員とのQAなどが載ってたりしている。


P290-1
ザッポスの面接での質問事例
どれもしっかり考えていないと答えられない質問。良い質問だと思う。
そして自分の職場が如何に退屈な考え方に支配されているかというのを思い知らされる(苦笑)。まぁある意味仕方がないのだが。ただ、ここにある質問を忘れないように、何度も読み返したい。

●応募者が既成概念にとらわれずに考え、行動することに前向きであることを見る
「以前の仕事で、あなたが既成概念にとらわれずに考え、行動しなければならなかった例を教えてください」
「仕事でした最高の失敗は何ですか。どうしてそれが最高だったのでしょうか」
「あなたの職務以外の問題か領域あるいは両方で改善できることがあると気づき、頼まれなくても解決した時のことを教えてください。どんなことで、どうしましたか」

●応募者が平均以上に創造的であることを見る
「自分のことを普通の人以上に創造的だと思いますか、普通の人以下だと思いますか。何か例を挙げられますか」
「ザッポスに入社して初日の仕事が、”面談/採用プロセスをもっと楽しくする”というものだったら、これに当てられた8時間をどのように使いますか」

●応募者が問題を解決しようとリスクを取ることに前向きであることを見る
「以前の仕事であなたがリスクを取った例について話してください。結果はどうでしたか」
「仕事をやり遂げるために、直近であなたが規則かポリシーあるいは両方を守らなかったのはいつですか」
by vamos_tokyo11 | 2011-04-24 02:49 |


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