『20歳のときに知っておきたかったこと』 ティナ・シーリグ

Great!

448410101720歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
ティナ・シーリグ Tina Seelig
阪急コミュニケーションズ 2010-03-10





 「馬鹿になれ」とは書いてないが、一言でいうと書いてあることはそういうこと、かな。この本には何度かジョブズの名スピーチが引用さているが、例のスピーチの最後に出てきた"Stay hungry, Stay foolish"の精神が散りばめられている。やりたいことがあればそれについてとことんやれよ、ということを上品かつ洗練された言葉で紡いでいる。著者は起業家精神あふれる人材が集まるスタンフォード大学で起業家育成コースを持っている女性。自己啓発本(というジャンルにするのが適切かわからないが)はいくつか読んだことがあるが、この本はそれらの中でも間違いなくトップクラス。私のような年齢のものには極めて手に取りにくい題名な訳だが(笑)、20歳になる息子を念頭に自身の経験に基づいて書いた本ということもあり、体験談を聞いてるかのように違和感なく読める。おそらく自分より年配の人が語ってくれているので心地よいのだろう。本の中でも著者自身が若いころにこんなことが分かっていればなぁ、というようなトーンで書いてくれているのも心地よさにつながっているのだろう。あとは語り口(書き口)が優しい。決して上から頭ごなしではない。背中を押してくれるような優しさを感じた。

 「知っておきたかったこと」ってなんだ!?、箇条書きで表してくれればいいのに!、と思わせる本の題名のつけ方はお見事だが、本の構成は全くそのような形式にはなっていない。

 あと、この本は解説が素晴らしかった。日本人による、日本人のための解説だ。日本人なりのやり方についてのヒントだ。

もしあなたが大きなリスクやグローバルな戦いなど、大きな話になんとなく違和感を覚えるなら、それはあなた一人ではありません。そんな時は、あまり横文字に踊らされることなく自分なりの「異質な方法」をとればいいのです。
(中略)
 最悪なことがあるとすれば、自分はリスクが取れない、自分には独創性がないと悩んでしまい、動けなくなることです。仲間を集め、常に新しい既存の物を探し、改良を続ける「異質な道」の開き方もあります。たとえサルまねと言われようが引いてはいけない。ニュートンですら「自分は巨人の肩の上に載っているから、遠くが見えるだけだ」といっています。まさに模倣なくして創造なし。


 残りはメモ。メモというか大量の引用です。





第1章 自分の殻を破ろう

p17
①チャンスは無限
②問題の大小に関わらず、いまある資源を使って、それを解決する独創的な方法は常に存在する
③私たちは往々にして問題を狭く捉えすぎている


p23
著者の願い
自分自身を、そして世界を新鮮な目で見てほしい




第2章 みんなの悩みをチャンスに変えろ

p32
どんなに大きな問題も、解決するには、まず問題を明確にしなくてはならない。


p41
ガイ・カワサキの言葉
「カネを稼ぐよりも、意義を見つけるほうがいい」
大きな問題を使命感を持って取り組むことによって儲かる。逆は真ではない。




第3章 ルールは破られるためにある

p46
ルール
助言がルールになる。社会のルールが自分に染み付いていく。頭の中で決めた自分の限界は、社会に課されるルールよりもずっと強制力が強い。わたしたちは自分で自分の監獄を作っている。決まった役割を押し付けている。


p47
ラリー・ペイジの言葉
「できないことなどない、と呑んでかかることで、決まりきった枠からはみ出よう」
できるだけ大きく考える。小さな目標を決めるよりも、大きな目標を掲げたほうが楽なことが多い。
小さな目標の場合、達成する方法は限られる。それをはみ出すとうまくいかない。これに対して、大きな目標であれば、時間や労力はかけるし、達成する方法も多い。


p56
ブレイン・ストーミング
ブレストの際には駄目なアイデアなどというものはない、と示すことが重要。
奇抜なアイデアを大歓迎すれば、人に話す前にアイデアを編集してしまうクセはなくなる。

p64
ルールを破る方法
自分自身に対する期待、そして周りからの期待を裏切る。


p67
「決まりきった次のステップ」とは違う一歩を踏み出したとき、すばらしいことが起きる


p68
経験を積めば積むほど、選択肢の幅は、自分が思っていたよりもはるかに広いことがわかるはず。たったひとつだけルールがあるとすれば、あなた自身がエネルギーと想像力を解放してあげればどこまでも行ける、ということ。




第4章 気が熟すことなどない

p86
リーダーになろうと思ったら、リーダーとしての役割を引き受けること。ただ自分に許可を与えればいい。組織の中に穴がないか探す。自分が欲しいものを求める。自分のスキルと経験を活かせる方法を見つける。いち早く動こうとする。過去の実績を乗り越える。チャンスはつねにあり、見つけられるのを待っている。チャンスは掴みに行く。がむしゃらない働かなければならないし、エネルギーも使う。意欲も必要。でも、これこそがリーダーをリーダーたらしめている資質であり、指示待ちの一般人とは違っているところなのです。




第5章 早く、何度も失敗せよ

p88
「失敗のレジュメ」を書く。
失敗というレンズを通して自分の経験をみることによって、自分が犯してきた過ちを受け入れられるようになる。

※ 今からでも遅くない。ここでいうレジュメは履歴書の意味と思われる。


p105
壁を押し続け、途中の失敗をものともしなければ、成功に突き当たる確立が高まる。

仕事で成功した人は、一直線に来たわけではなく、浮き沈みを経験し、キャリアは波形を描いている。
ほとんどの人は、つねに右肩上がりでなければならないと思い込んでいるが、この考えは非現実的であると同時に人を縛るもの。


p110
ロバート・サットン
「バカで愚かで怠惰で出来の悪い社員を評価しろと言っているわけではない。バカな失敗ではなく、賢い失敗を評価すべきなのだ。クリエイティブな組織をつくりたいのであれば、何もしないことは最悪の類の失敗だ。創造力は行動から生まれる。何もしなければ何も生まれない。」


p118
ジェフ・ホーキンス
「自分は、自分の会社と一体ではないし、製品と一体でもない。往々にして同一視しがちだが、失敗したからといって自分が失敗したわけではない。あるいは成功したときですら、自分の成功ではない。会社や製品は失敗することがあっても、自分が失敗者なのではない」




第6章 無用なキャリア・アドバイス

p121
情熱とスキルと市場が重なり合うところ。それが、あなたにとってのスウィート・スポットです。そんなスポットが見つけられたら、仕事がただ生活の糧を得る手段で、仕事が終わった後趣味を楽しめるのではなく、仕事によって生活が豊かになるすばらしいポジションにつけることになります。こんなに楽しんでお金をもらっていいのかと思えることを仕事にする-これが理想ではないでしょうか?


p134
子育ては、変化する状況に工夫して対処する機会となり、どんな状況でも通用するスキルを培うのに役立ちます。子育てによって、複数の仕事を同時にこなす能力、重圧の中で決断を下す能力が磨かれるのです。そしてじつは交渉術を習得するのにも役立ちます。


p137
キャリアを築く上で一番大切なこと
仕事だと思わずに取り組める役割を、社会のなかに見つけること。スキルと情熱と市場が重なる場所を見極められたとき、その役割は見つかります。それは、やりがいがあるというだけではなく、前向きに情熱を傾けられ、人生を奪うのではなく人生を豊かにしてくれるのです。ぴたりとはまる役割をみつけるには、実験を繰り返し、多くの選択肢を試し、周りから明に暗に受け取っているメッセージを検証し、正しくないと思えば突っぱねることが必要です。




第7章 幸運は自分で呼び込むもの

p146
よき観察者であり、開かれた心を持ち、人あたりがよく、楽観的な人は、幸運を呼び込みます。

※まさに義理の父母の話そのもの!
 義理の父母は海外旅行の帰りに成田空港で困っていたインドネシア人をクルマで送ってあげ、
 その後、インドネシアのおうちに招いてもらったりと楽しい交流が続いている。


p160
目標を絞り、ひたむきに努力すれば、幸運が舞い込む確立は上げられます。しかしながら、努力以外にも使えるツールはたくさんあります。訪れた機会を歓迎する、チャンスが舞い込んだら最大限に活かす、身の回りの出来事に目を凝らす、できるだけ多くの人たちとつきあう、そしてそのつきあいをできるだけいい方向で活かす。自分自身で運を呼び込むとは、悪い状況を好転させ、いい状況はさらに良くすることなのです。幸運に恵まれる確立は大幅に高めることができます。そのためには、できるだけ幅広い経験をし、その経験を独自の方法で結びつけること。そして、恐れることなく、自分の人生を演じたいステージに上げようとすることです。




第8章 自己流から抜け出そう

p162
お礼状の大切さ
あなたのために何かしてくれた人に対して感謝の気持ちを示すかどうかで、あなたの印象は大きく変わります。


p167
判断に迷ったとき
将来そのときのことをどう話したいのかを考えればよい。将来、胸を張って話せるように、いま物語を紡ぐのです。

※ うしろから考えてみる(これは自分もやるなぁ)


p168
自分の行動に責任をもち、経験から学ぼうとする姿勢が大切
→学習意欲が高い人たちは悪い状況をうまく好転できる。
→採用面接で面接官とのやりとりから何か学べる人は印象がよくなる。


p168
交渉力
交渉は常に対立しているわけではない(根拠のない思い込み)。交渉を成功させるカギは、全員にとって最大限に有利な結果を引き出せるように、全員の利害を探り出すこと。交渉が有利になると思って、自分の利害を明らかにしない人がでてくるので難しい。しかしながら、この作戦は誤っている。実際には、こちらの望むことが、交渉相手が望むことと一致しているかもしれないから。


p173
交渉
人は間違った思い込みがあるために、交渉で得られるはずの多くの価値を得ていない。意外だと思うのは、自分が誤った思い込みをしているから。また、自分の利害ではなく、交渉相手の利害やスタイルに合わせて交渉のやり方を決めるべき。きっちり作戦を決めて交渉に臨むのではなく、相手の話をじっくり聞いて、どんな動機があるのか見極める。そうすれば、お互いにとって好ましい結果につながる。

※ 基本はこのスタンスだが、時には戦略も重要だろう


p175
交渉のテーブルを離れることを常に念頭においておくべき。
席を立つべきかどうかを決めるには、ほかの選択肢を知ること。交渉学ではこれを、BATNA(不調時対策案)という。交渉を始めるときには、BATNAを持っているべき。


p176
交渉の一般論まとめ
交渉を効果的に進めるには、自分自身の最終目標と同様、交渉相手の目標も理解するよう努め、ウィン・ウィンの結果を模索し、いつ交渉の席を立つべきかを知っておくこと。これらのスキルを習得し、確実に双方が満足できるようにするためには、かなりの努力が必要。


p176
人助けも大切な習慣
「何かしてあげられることはない?」


p179
最高のチームプレイヤーは、他人を成功させるために労を惜しまない


p184
要約
ほんの少しの心がけで、自分でつくりがちな障害や落とし穴を簡単に避けられるようになります。最善の方法のひとつは、自分を助けてくれる人に対して、つねに感謝の気持ちを表すことです。引き出しには買いだめした「サンキュー・カード」を入れておき、こまめにカードを送りましょう。世間は狭く、おなじ人に何度も会う機会があることもお忘れなく。あなたの評判を守り、高めてください。それは最大の資産であり、しっかり守るべきものだから。そして一言「申し訳ありませんでした」といえるように、謝り方を覚えましょう。あらゆることは交渉可能であり、すべての当事者が勝つような方向で交渉することを覚えましょう。他人の強みを活かし、得意なことができるようにしましょう。賢明なことでなく、正しいことをしておけば、後々、胸を張って話せます。最後に、あれもこれもと欲張りすぎてはいけません。あなた自身も、あなたを信頼してくれる人たちからもがっかりすることになるのですから。




第9章 及第点ではなく最高を目指せ

p188
期待は大きく持つ
「光り輝くチャンスを逃すな」
→いつでも期待以上のことをすると決意すること(p192)


p193
言い訳は無意味、専門的に言えばたわ言である。


p197
競争が好きなのと、目標達成の意欲が強いのとでは、大きな違いがある。競争好きとは、ゼロサム・ゲームの中で誰かの犠牲と引き換えに成功すること意味する。これに対し、目標達成の意欲が強い人は、自分自身の情熱を掻き立てて事を起こす。偉大なリーダーの多くは、周りの人たちの成功に刺激され、やる気になっている。


p203
光り輝く方法は一様ではない。だが、すべては限界を取っ払い、持てる力を遺憾なく発揮しようとするところから始まる。及第点に満足せず、自分の行動とその結果の責任は、最終的に自分にあることを自覚すること。人生にリハーサルはない。ベストを尽くすチャンスは一度しかないのだ。




第10章 新しい目で世界を見つめてみよう

p206
「あなた自身に許可を与える」

※日本以外の国にも「出る杭は打たれる」と同じ言葉があるようだ。
 「上着を引っ張る人」「背の高いポピーは切られる」(中南米の言葉)


p205
この本で伝えたかったこと

 快適な場所から離れ、失敗することをいとわず、不可能なことなどないと呑んでかかり、輝くためにあらゆるチャンスを活かすようにすれば、限りない可能性が広がる、ということ。もちろん、こうした行動は、人生に混乱をもたらし、不安定にするもの。でも、それと同時に、自分では想像もできなかった場所に連れて行ってくれ、問題がじつはチャンスなのだと気づけるレンズを与えてくれる。何よりも問題は解決できるのだという自身を与えてくれる。

 25年前に書いた詩を読んで思い出すのは、20代の頃、次のカーブに何が待ち受けているのかわからなかったが故に抱いていた不安。将来が不確実なのは歓迎すべきことなのだと、誰かが教えてくれればどんなにかよかったのに、と思う。この本のなかで紹介した物語が教えてくれているように、予想できる道を外れたとき、常識を疑ったとき、そしてチャンスはいくらでもあり、世界は可能性に満ちていると考えることを自分に許可したときに、飛び切り面白いことが起きるのだから。




ここからは読後にネットで見つけたものに対する感想。

本も非常に面白かったが、それと同じくらい共感したのが、下にリンクしたサイトなどで読んだ日本への評価だ。質問者の「日本はこの20年停滞してきたが・・・」という問いに対して、「ちょっと待って、みんなにそう言われるけど、そんなことはないでしょう。20年とすると、若者たちは生まれたときから停滞していた中で育ったということになる。問題なのはそういうマインドが蔓延してしまうことだ」というくだり。まったくそうだと思う。ほんとにどん底ならば生活も悪くて暮らすのも苦しくなっているはずだが、必ずしもそんなことはない。自分の子どものころよりも、今の子供たちのほうが物質的には圧倒的に豊かだ。それにグダグダ言ってるような中で育った子ども達に対する影響を考えるとひどく暗い社会になってしまいそうだ。そういうわけで、この人の考え方に益々共感した。また動画で話す様子を見るととても表情が豊かでチャーミングだった。早口すぎて全く意味がとれないし、早すぎて英語の勉強にも使えないけど(苦笑)。

今年日本で講演していた。
すばらしいサイトがありました。

本に出てきた講義はyoutubeで見れました。

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by vamos_tokyo11 | 2011-06-18 19:21 |


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