『人間の本性を考える』 スティーブン・ピンカー

 長かった。。。

4140910100人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)
スティーブン・ピンカー 山下 篤子
NHK出版 2004-08-31



 『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』の中で、人間の性格や能力は遺伝子で全部決まってしまってるんだという主張があって、そのなかで「証拠」として出されていた本。ほんとにそんなこと言ってんのかとか、科学的にほんとうにそうなのかとか、とにかく気になって仕方がなかったので読んでみた。

 この本、3冊に分かれてる長い本で、おまけに翻訳本かつ、これまた冗長な修飾が多くて読むのに難儀した。というか、どうでもいいところはかなり飛ばして読んだ。どうしてアメリカ人の書く本てのはどうでもいことにやたらと紙幅を費やすんだろう。本を分厚くした方が買うときにお得な感じでもするんだろうか。

 で、気になる結論だけど、至極当たり前のことが書かれていた。つまり、人間は生まれてきた時点で、遺伝によって性格が決まっていて「ブランク・スレート」(空白の石版)ではないということ(原題は「The Blank Slate」)。身体的特徴を遺伝によって継承するのであれば、心や知能の部分も親から引き継いでいるというのは当然といえば当然だ。(とこの本に書かれている)

 子どもを持つ親なら当たり前のことが書かれている。生まれたときから個性ってあって、他の子と比べると全然違う(違ってた)。子どもはなんでこんなにいうこと聞かないんだろうとか思うわけだが、そりゃ「お前の子だからだろう(笑)」ということで、当たり前なのである。ほんとに生まれたときから全然違うんだから、そんなこと言われなくても、と思うのだが、当たり前のことに気づかなかったし、というかあんまり深く考えたこともなかったが、世の中的にも優生学(優生政策)の問題などがあるわけで、こういうことを科学的に立証しないと(立証しても)世の中的には認められにくいことなのかもしれない。

 優生学の問題だけじゃなくて、双生児の研究から、子どもが育つのに親のかかわりは意味がないかのような話が出てくるのだが、それは『子育ての大誤解』(ジュディス・リッチ ハリス)の記述を引き合いに出して、「意味がないわけがないじゃないか!」とまとめている(そりゃそうだ)。僕がもっとも知りたかったことが書かれていたここが、自分にとってのエッセンスだった。





p226
 第一に、親は子どもに対して大きな力を行使し、その行動は子どもの幸福におおいに影響する。育児にはとりわけ倫理的な責任がある。(中略)ハリスが書いているように、「私たちは子どもの明日を掌握してはいないかもしれないが、今日を掌握しているのはまちがいないし、明日を悲惨なものにする力ももっている」のだ。

 第二に、親と子のあいだには人間関係がある。(中略)ある人のもう一人に対する行動は、二人の関係の質に影響をおよぼす。(中略)人びとが子どもを理屈や知識でとらえるようになると、こうした簡単な真実を忘れてしまうという事実は、現代の教義が私たちをどこまで遠くつれてきたかを示している。


 ちなみに、この本と並んで読んだ『心はどのように遺伝するか』は日本人が書いていて、とても読みやすかった。おまけに文庫本(ブルーバックス)だから短くって最高(笑)。こっちについてはまた書きます。



4140910119人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス)
スティーブン・ピンカー 山下 篤子
NHK出版 2004-08-31



4140910127人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (下) (NHKブックス)
スティーブン・ピンカー 山下 篤子
NHK出版 2004-09-30


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by vamos_tokyo11 | 2011-08-15 23:50 |


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