『隠される原子力 核の真実』 小出裕章

 この本がベスト。

4915970361隠される原子力・核の真実―原子力の専門家が原発に反対するわけ
小出 裕章
創史社 2011-01



 ここ1・2ヶ月小出裕章氏の本を何冊か読んだが、これがベストだった。言ってる事は同じなのだが、この本がもっともバランスが取れていて、原発に反対する理由に感情的なところがほとんど入ってこないところに説得力を感じたからだ(本が出たのは事故前だが2010年と、他の過去本に比べてもっとも最近出たもの)。

 他の本に書いていないようなことが2つあって、ひとつは発電後に発生するゴミ(いわゆる「死の灰」)の処分に関する問題。これには六ヶ所村や、セラフィールド(イギリス)の再処理工場について、他の本にも出てくるが、如何に処分が難しく、保管にかかるボリュームが膨大であるか、保管するための時間がどれほど長いか(プルトニウムの半減期は2万4千年)。そして処分し切れなかったこれらのゴミを利用してアメリカが劣化ウラン弾を作り、湾岸戦争で320トン、ボスニア・ヘルツェゴビナで3トン、コソボで10トンを使用(アメリカが認めている数字らしい)。アフガニスタンで1000トン、イラクで2000トンを使用したと推定されている。

 もうひとつが、原発が全然効率的ではない発電であるということ。発熱の30%ほどしか使用できておらず、残りの熱は海に排出している。そして海は二酸化炭素を水の中にためているが、これが温められて空気中に放出されてしまう。また、そもそも冷たい水を温め生態系を破壊するもので、原発とは「海暖め装置」に他ならないということ。100万キロワットの原発の場合、1秒間に70トンの海水の温度を7度上げる。原発周辺の海が暖められていることは知っていたが、ここまでか、という事実を突きつけられると愕然とする。

 「もんじゅ」がようやく仕分けの対象になりそうだが(あそこに費やしたカネを普通の発電所に投資していれば全然間に合っていたのに・・・)、そもそも、六ヶ所村の再処理工場ですらテストの域を出ていないし、そもそも保管もままならいゴミを常に生み出すという仕組み自体が破綻しているというのがよく分かる。
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by vamos_tokyo11 | 2012-01-08 02:24 |


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