『ゴーストタウン』 エレナ・ウラジーミロヴナ・フィラトワ

4087206084ゴーストタウン チェルノブイリを走る (集英社新書)
エレナ・ウラジーミロヴナ・フィラトワ 池田 紫
集英社 2011-09-16


 チェルノブイリ周辺の人が住まないエリアをバイクで旅して集めた写真を文章とともに載せているオールカラーの新書。元々有名なwebサイトだったが、フクシマを機に本になった。

 昔から訳者の開いた日本語訳サイトもあって、見た記憶があるのだが、写真とともにある文章が詩のような文章でわかりにくく、あんまり好きなスタイルではなかった。本でもそこは変わりがない。

 突然人が住まなくなり、20年も経つと住居と周辺は自然に還っていく、というよりも植物に侵食されていく、というのがよくわかる。不幸な現実に恐ろしさを感じたりもするのだが、よくよく見ていると不思議な写真が多かったりする。チェルノブイリ原発から数十キロ・数百キロ離れたところの写真などで、家の中が滅茶苦茶に破壊されていたりする。廃墟が並ぶ写真ばかりで「恐ろしい」と思って思考を停止してはいけない。冷静になってよく考えるとおかしい。水爆ではないのだから、こんな離れたところの家の中まで破壊されるわけがなく、こういう状況になるのはありえない。後半を読んでいると他にもこの地域を旅している人がいるというのがわかる。これらの地域は強盗に滅茶苦茶にやられてたのかもしれない。

 とにかく家の中の状態がひどい。著者が勝手に土足で入り込める状態になっているのだから自明なのだが、とにかくひどい状態なのだ。著者がバイクで行けるエリアなのだから、泥棒だって余裕で物色できるということ。そう考えると二重に恐ろしいエリアだ。

 そんななか地域で暮らしている少数の老人の写真があったり、定期的に綺麗にされている教会があったり、その景色の対比は凄まじい。自分的には巻頭のチェルノブイリ事故当時の写真も興味深かった。

 悲しいが、フクシマ第一原発付近の近未来を予感させる本だ。

 著者のサイト Kiddofspeed - GHOST TOWN - Chernobyl Pictures -
 訳者のサイト チェルノブイリの写真 Elenafilatova和訳
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by vamos_tokyo11 | 2012-01-21 03:28 |


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