『日本人の価値観』 鈴木賢志

 なるほどねーって感じの本。

4121100077日本人の価値観 - 世界ランキングを読み解く (中公選書)
鈴木 賢志
中央公論新社 2012-01-06



 各国横断の調査結果をランキング表形式にして、日本人の見方や考え方をグローバルに評価している本。ランキングとかあんまり興味ない方なんだけど、まずまず面白く読めた。これはたぶん著者のバランス感覚と豊富な知識や経験によるところが大きいな。

 いくつか参考になったところをメモしておく。

 「1日に平均何人くらいの人と接しているか」というアンケートで、人数が少ないのが、ハンガリーを筆頭に東欧諸国、ロシアとなっていて、日本も下位に入っている。そこでp60に現れる著者の分析がこちら。ランキングから見える「問題の本質」みたいな感じ。

 実はハンガリーやスロベニア、ロシアは人口当たり自殺者の数が多いことでも有名な国々です。社会からの孤立感が人を自殺に追い込む、あるいは逆に、他人とのコミュニケーションが自殺を思いとどまらせる、という考え方をもとにすると、人々のコミュニケーションが比較上、活発といえない国々において自殺率が高いというのは、非常にわかりやすい相関関係であると言えます。そしてコミュニケーションの少なさについても、自殺率についても、東欧、ロシアに次ぐのが日本や韓国であることを、私たちはしっかり認識しておく必要があるでしょう。



 幸福度に関する考察。
 p77-78
 「選択の自由度」ランキングの上位に名前を連ねているのは、第1位のメキシコを筆頭とする中南米の国々です。そしてこれらの国々は、人々の生活満足度、つまり幸福度が一般に非常に高いことでも知られています。中南米の国々に限らず、選択の自由度の高い国ほど、生活満足度すなわち幸福度が高い傾向がありますが、日本は逆の意味でこれによく当てはまっている、つまり選択の自由度が低く、幸福度も低いのです。



 日本人の宗教観に関する考察。これは非常に的を射てると思った。なんでいろんな宗教的起源の行事に囲まれてんだろう、日本人はと思ったが、これはものすごく得心した。
 p95
 日本人が宗教にこだわらないのは、霊的なものを信じなくなったからということではないようです。日本人は、むしろ祖先の霊的な力を強く信じているからこそ、宗教をそこに通ずる道筋としてとらえ、その選択にはあまりこだわらない人が多い、ということなのではないでしょうか。日本で家に仏壇や神棚を置いている人が多いと先に述べましたが、神棚はともかく仏壇を置いている人の多くは、仏教の信仰のためというよりは、祖先の供養のためではないかと思います。ちなみに祖先の霊的な力を信ずる国ランキングで日本の次に来るのは台湾です。(中略)台湾で最もポピュラーな宗教は民間信仰です。これは道教・儒教・仏教を取りあわせたような形のもので、多神教であり、台湾の中でも地域によって様々な神が祭られています。これは信仰する宗教があるという点では日本と異なりますが、ある意味で「何でもあり」と言う点では、やはり祖先に対する思いを軸とする日本と共通するものが感じられます。

 
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by vamos_tokyo11 | 2012-07-18 23:31 |


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