『人間失格・桜桃』 太宰治

 今年は小説を読みたいと思っていてが、あんまり進まず。そこへきて、会社から課題図書(?)みたいな本が渡され、自分の読みたい本が読めず、しばし読書を中断。読みたくもない本は進みが悪いし、すぐ眠くなるんだよな。で、その本を読み終えた時点で手持ちに読む本がなかったため、家に置いてあった本の中から『人間失格』をチョイス。たぶん妹が置いていった本だと思うのだが、何度か手にしては読み進まず、ということを繰り返したような気がする。それを今回は通勤電車で読み始めたところどんどん進んだ。

 後ろの年表を見ると良く分かるのだが、ほぼ自伝的な小説で、「面白い!」というよりも「いっちゃってるな」という感じさえするほどの内容ですごかった。別の出版社から出ているほうには太宰の娘さんが解説を書いていたのだが、それを立ち読みすると子どものころにお母さんから聞いていた太宰の印象とは随分違うようだが、太宰治本人の心はこんな感じで過ぎていったんだろうという気がした(じゃなきゃ何度も自殺を試みないだろう)。

 「いっちゃってる」と書いたが、太宰が抱いていた感情はどこかで共感できるところがある。人と接触するとき自分を良く見せようとする振舞い方とか、それに気付かれたときの恐怖感とか、太宰のそれはナイーブすぎるのだが、どこかで共感できるところがある。でも、大人になってからは本格的にいっちゃってて、仕送りで遊びまくり、ヒモになったり、突然一緒になった人と心中して相手だけ亡くなったり、そのあともヒモを繰り返したりと、普通ではない人生が続く。小説の中での仕事と実際の仕事(物書き)が違ったり、起こった時期が前後してたりというのはあるみたいなのだが、それにしても最後まで壮絶。前半の共感はどこへやら。最後のほうは人の生活と心を興味深く覗き見るような感じで傍観者として過ぎていった。自分が大人になっていて、もはやこの世捨て人のような生活に現実感がなく、客観的に見ちゃうところが影響してるのだろう。若いとき(社会人になる前)に読んでいたら随分違う印象を抱いただろうな。


 「桜桃」は超短編なのだが、同じトーンで萎える(笑)。自殺する直前の同じ時期に書いているのだから当たり前なのかもしれないが同じ用に感じすぎていく。おまけ以外のなにものでも短編、だと個人的には思う。

 近所だし、今度禅林寺に行ってみるか。

人間失格・桜桃 (角川文庫)
太宰 治
角川書店 2009-05


 それにしてもこのカバー、なんなんだろう。うちのある昔の文庫のほうがずーっと素敵だ。
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by vamos_tokyo11 | 2012-09-05 00:08 |


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