『斜陽』 太宰治

『人間失格』に続いて読んでみた。

4101006024斜陽 (新潮文庫)
太宰 治
新潮社 2003-05



 『人間失格』とはまた違った意味でおかしな人たちのお話。この斜陽する貴族たち(つまり華族だろうか)があまりにも子ども過ぎて理解できない。これは自分が大人になってしまったからなのかもしれないが、旦那がいなくて自分は働いてもいないのにお手伝いさんを雇って暮らし続ける奥様とその娘(離婚して戻ってきた)、そして戦地から帰ってくる息子。彼女らがお金がなくなり住んでいた東京の家を手放し、伊豆の別荘を買い、そこに暮らしていく話。まったく生活力がなく、叔父の言われるがままに家を処分したり、暮らしを変えようとしたりするまま話が進んでいく。若干『人間失格』に出てきた話と似たような人間が出てきたりするところがあるのだが、共通するのは生活力の無い華族的な人々の描写だ。

 これがもう前半からネチネチ続くので、半分くらいまでは読むのが全く楽しくなかった。薄い文庫本なのに進みも遅かった。何がって全く感情移入できないのだ。自分の生きている環境と異なり過ぎるため全く理解できない。おまけにここに出てくる離婚帰りの娘さん(30くらいだったか)が一度しか会っていない軽くキスしただけの相手に対して「あなたの子どもを生みたいのです」とかラブレターを送ってたりして(それも何度も)、こえーな、おい、と。あげく、伊豆から荻窪まで会いに行ったり(妻子がいる人にその家にピンポンしに行く)、ストーカーかよ、と。そんな感じで、戦地から戻ったどら息子だけじゃなく、主人公と言われる4人が4人ともイッちゃってるわけで。

 解説に書いてあった通り、太宰治は好きか嫌いかで真っ二つに分かれるとあったけれども、とにかく自分には合わないな、と思った。ただ、後半は加速してきて、どら息子の姉への遺書のくだりはなんかすごく勢いがあった。別に100%共感できるわけじゃないのだが、悩んでる内容がストレートにこっちに伝わってくるような、シチュエーションは異なりながらも「あー、わかるわー」というところが出てきたり。

 自分にないものを持ってる人がいるんだ、という世の中をを理解するために勉強と捕らえるか。こういう本を読んで共感・理解ができなく、戦後多くの人が苦しんでいた時代にこれほど裕福でありながら、イジイジと過ごす家族を見ていると全く理解できず、「俺は心が狭いな」と思ってしまうわけで。時代が違うからなのか、自分が年をとったからなのか、それとも元々理解できない生い立ちの違いなのか。太宰の本が全部こんなだったらもう読めないと言える。
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by vamos_tokyo11 | 2012-09-15 00:08 |


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