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『不毛地帯』 山崎豊子

 すごい!濃い!!

不毛地帯 (第1巻) (新潮文庫 (や-5-40))不毛地帯 (第1巻) (新潮文庫 (や-5-40))
山崎 豊子

不毛地帯 第2巻 (新潮文庫 や 5-41) 不毛地帯 第3巻 (新潮文庫 や 5-42) 不毛地帯 第4巻 (新潮文庫 や 5-43) 不毛地帯 第5巻 (新潮文庫 や 5-44)


 『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』以来、久々の山崎豊子本。『白い巨塔』は合わなくて1巻の途中で読むのを止めちゃったんだけど、この本は最初から最後まで濃厚極まりない内容で面白かった。(本の詳細な内容はAmazon等他サイトを参照ください)

 最初のシベリア抑留での話が物凄い壮絶さ。この人の描写は細かくて見てきたかのような、今見てるかのような書き方で、読んでるだけで息苦しくなるような箇所が随所にあった。しばらくシベリア抑留時代の話が続くのだが、こういうことがあったんだということは日本人として理解しておかないといけないな、と感じた。

 主人公のモデルが瀬島龍三というのは有名な話なのだが、どこまで本人に似せているのかはわからない。恐らく『沈まぬ太陽』ほどにはなぞっておらず、ここでは心の中を表現するところが多かったので、元陸軍参謀、シベリア抑留、伊藤忠副社長といったところをモデルとした程度なのかな、と勝手ながら想像した。基本的に善人で構築されていて、物語の最後での身の処し方なんかからそんな感じがした。

 シベリア抑留の表現、航空機受発注の生々しさ、自動車再編での立ち回り、原油掘削での勝負、とそれぞれの物語のなかで人間ドラマや広い世界観が展開されていくので飽きることなく読み薦められる。

 大門社長が、副社長の里見と壱岐(主人公)がお互いにやりあう中で、どちらかの肩を持つのではなく、両方の部下を必要な人材として双方を立てつつ忠誠を誓わせるような動きや発言をしているのを読んで、山崎豊子はすげー人だな、いろんな角度から物事を考えられて、企業で働いていても社長とかやってそうだな、と感じた。
by vamos_tokyo11 | 2012-11-11 01:37 |


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