『リンダリンダラバーソウル』 大槻ケンヂ

 めちゃくちゃ面白かった。バブル崩壊前後に起こったバンドブームのお話。

4101429278リンダリンダラバーソール (新潮文庫)
大槻 ケンヂ
新潮社 2006-08



 手元に読む本がなくなり、帰りに図書館へ寄ったところ、前にどこかで目にして気になっていたこの本を手に取った。「高木ブー伝説」のページを読んだら面白かったのでそのまま借りて読破。すごく勢いがあって、ちょっとした電車の待ち時間とかでもページを捲りたくなるくらい面白かった。

 お話は大槻ケンヂが筋肉少女帯でデビューする直前から、バンドを辞めるところまでと、そこから飛んで2000年頃までの話。バンドブームの喧騒の中で、将来に不安を抱えて学生生活を送っていたオーケンが、デビューして、その中でブームで生活が一変してから自分や周りのバンドに起こったことをおもしろおかしく、せつなく語っている。この頃、僕は洋楽メタルしか聴いてなかったけれど、よく耳にした曲・バンドの名前もたくさん出てくるし、イカ天はたまに見てたので、とにかく懐かしくて面白かった。

 特に最初の方のライブハウスで馬鹿なことばっかりやってるパフォーマンスの話とか秀逸。前半3分の1は飛ばしまくりで息つくヒマもない。当時の喧騒が脳内に溢れてくる。バブルって時代背景もあったんだろうね。真ん中の3分の1くらいはちょっと中だるみというか小休止というか、ジュンスカ、X、奥田民生、池田貴族、カブキロックス、ザ・ブルーハーツと、個人にスポットをあてて当時の話を書いており、小説的な流れが分断されて、コラムっぽくなってる。ここはちょっとなんかもったいない作りかな。でもネタ的には面白かった。最後の3分の1くらいはまたお話の流れが戻ってきて、きれいにクロージングしてくれる。芸能人の話なのに、なんかとても近くにいるような感じで、そばにいる人の話の様に読めたのは、この人の腕と人柄によるものなんだろう。

 筋肉少女帯って「ぼよよんロック」(これはキンショーじゃないらしい)と「イワンのバカ」しか知らなかったけれど、この本を読んだ後、キンショーの曲をyoutubeで見たら、曲がメタルしててかっこよかった。歌詞はよくわからんけど、それは洋楽だって一緒だからな(笑)。それ以上にこの本にたくさん出てきてタイトルにもなってるブルーハーツの曲をたくさんyoutubeで見て、とてもよかった。特に初期の素朴でストレートな感じは本にも出てくるとおりかっこよかった。

 大槻ケンヂは賢い。この本の中での大槻少年が大槻青年になる過程で思い悩みながらよく考えていることが表れていて、彼の芯みたいなものが伝わってくる。文庫本へのあとがきで、ネタばらしをしていて、この本を「栄光」→「喪失」→「迷走」→「信念」→「復活・または継続」という様式美とも呼ぶべきお約束のパターンにしたがって書いたと告白している。そのパターンは『ビッグ・ウェンズデー』をお手本にしたらしい。ハッピーで楽しかったってことを言いたかったのだから、バンドブームが苦しかったと誤解しないで欲しい、ロックって素晴らしいってことを感じて、みんなやりたいことをやって欲しい、と最後にあとがきで補足している。大槻ケンヂってすごいね。ほんと面白かったよ、この本。ロックって最高だな。
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by vamos_tokyo11 | 2012-12-03 23:29 |


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