『理系の子』 ジョディ・ダットン

4163750800理系の子―高校生科学オリンピックの青春
ジュディ ダットン Judy Dutton
文藝春秋 2012-03



 某所で勧められていて読んでみた。確かに面白かった。このお話は、サイエンス・フェアという全米+外国(日本も含まれている)から集まってくる高校生までの科学の自由研究の博覧会に出る少年少女の物語。11人の少年少女について生い立ちから研究に至るまでの過程を取材し、物語として非常に面白いものになっている。ショート ストーリーがたくさん詰め込まれている感じなのも飽きさせない要因。最後の2章ではサイエンス・フェアで取材した子たちがどういう結果であったのか、ということまでフォローされており、フェア後についてもフォローされていて、とてもすっきりした終わり方になっている。また、本の最後には特別寄稿として日本人でこのフェアに参加して、賞を獲得した女の子の体験談もある。これがまた非常に良かった。会の模様、自分の研究テーマの説明が、どのお話よりも分かりやすかった。

 すごく取材に時間がかかっただろうということが容易にわかるくらい、各個人のバックグラウンドや状況説明が丁寧になされている。だからこそ、物語として面白く仕上がっているのだろう。ただ、ちょっと残念だったのが、科学のお話なのに、その研究テーマが科学的にどうなのか、ということがあまり掘り下げられていないことが多く、またその研究テーマの結論がなんなのか、というところには焦点が当てられておらず、そのため、話を読むともどかしさもあったりする。まぁ、この著者が書きたかったことは、彼らのテーマの深堀ではないのだから、それは致し方ないのかもしれない。

 また、学校ではスポーツのスターがヒーロー(学校中でちやほやされる)になるのに、理系の子たちはなれない。でも、サイエンス・フェアで勝ち抜くような子たちは違う。学校でもスター扱いされるし、全米中でスター扱いされるんだよ、ということを紹介している。別にスポーツのヒーローを対極に置くような書き方をする必要は全くないんじゃないか、と思うくらいにどの話も面白いのだが、この辺は実にアメリカ的だと感じた。

 いずれにしても、この本はオススメ。科学の楽しさとか、何かを一生懸命突き詰めることの楽しさとか、そういうものが伝わってくる。
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by vamos_tokyo11 | 2012-12-06 23:34 |


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