『フェルメール 光の王国』 福岡伸一

 文章も写真もすばらしい。ANA機内誌での連載をまとめたもの。

4863240406フェルメール 光の王国 (翼の王国books)
福岡伸一 小林廉宜
木楽舎 2011-08-03



 久々の福岡伸一本。先のエネルギーの本に「動的平衡」という単語が出てきて思い出したのは福岡伸一氏のことだったのだが、横にこの本を置いていたので何かつながりを感じ、不思議な感覚だった。
※過去に読んだ福岡伸一本 『生物と無生物のあいだ』 『もう牛を食べても安心か』

 著者はフェルメールは「光のつぶだち」を発見して、それを絵にとどめようとしたに違いないと解釈し、フェルメールを巡る旅をスタートさせる。フェルメールが暮らしていたデルフトを皮切りに、世界中に広がるフェルメールの絵を訪ねてまわる(ANAはうまい企画を考えたなぁ)。

 そのなかで登場するのが、同じデルフトで同じ年に生を受けた科学者のレーウェンフック。その親しかったであろう関係から、レーウェンフックが顕微鏡で見た昆虫の脚のデッサンがフェルメールのものではないのか、という想像を廻らしていく。この想像、実はだいぶ前に新聞で読んだ記憶があり(福岡伸一氏の記事だった)、今回この本を読もうと思ったのも、この推測についてまとめたような本があると知ったからだった。
 
 このお話について期待して読み始めたところ、世界中に散らばっているフェルメールの絵について解説がふんだんにされていたり、その土地土地の話が織り込まれたりしていて非常に楽しかった。ニューヨークでは『生物と無生物の間』にも出てきた野口英世の話が出てきたり、ゆかりの図書館が写真つきで紹介されていたり、とても充実している。

 この本を読むと絵を見に行きたくなるし、その土地を訪れたくなる。ルーブルに行ったはずなんだけど、ここで出てくる絵を見た記憶がなかったり、アムステルダムに行ったのにそこの美術館を訪れてなかったり、とてももったいないことをしてたんだということが分かった。また、訪れる理由ができたな、ということでラッキーだと思うことにしたい。
[PR]
by vamos_tokyo11 | 2012-12-09 23:14 |


<< 『超高層ビビル 日本編』 中谷幸司 『エネルギー論争の盲点』 石井彰 >>