『采配』 落合博満

元中日ドラゴンズ監督の育成・指導論。
オススメ本にあがっていたので読んでみた。表紙が怖いんですけどw

4478016267采配
落合博満
ダイヤモンド社 2011-11-17



 オススメ通りに良書だった。最近の野球は全然見てないので、本文に出てくる選手名もほとんどわからないんだけど、選手の育成や采配などで、一見奇をてらったように見られるものが、実は強固な信念に基づいて実行されたものであり、結果を残す強さを持っているということがよく分かる。

 いろいろ面白いというか真っ当なことを述べていて普通に素直に読めるのだが、そんななかでも特に印象に残ったのが、次の文章。

p74
 自分の采配を「正しかったか」それとも「間違っていたか」という物差しで考えたことがない。ただあるのは、あの場面で最善と思える決断をしたということだけである。


 これについては、のちのち後悔しないようにそのときそのときで全力を尽くすということでもあろう。この文章は野球の采配のなかでのものではあるが、それは野球以外の仕事や生活のなかでも同じなんだと思う。その一瞬に集中するということや、その一瞬に全力を傾けるというのは前に読んだ『働かないってワクワクしない?』にも通じる考え方だ。やはり大事なことは同じで、その場その場で全力で取り組むこと。それができれば充実するということだろう。

 また、この本を読んでいて一貫して感じたのが、ぶれない人であるということ。自分の信念に基づいてそれを曲げない。それは何かといえば、プロ野球球団の目標は唯一勝利であること。そのために選手を守り、チームスタッフを守り、プロ野球に携わる仲間にも敬意を持つこと。これについて全くぶれずに守り通しているように読めた。Amazonを眺めていたら、他の落合本『なぜ日本人は落合博満が嫌いか?』の書評で、リーグ2連覇した監督との契約延長をしなかった理由について、落合氏が地元サポート企業やスポンサーなどの宴席・会合に出席に参加しないことで、球団経営陣から疎んじられたのではないかと書かれていた。なるほど、観客動員が伸びないなどもこういうところに理由があったのかもしれない。それでも信念を曲げずに勝利することへ執着して、自分が正しいと思うことに取り組んできた落合氏は、この本に書かれている以上にすごいのかもしれない。この話を読んで、2006年に優勝を決めた試合で涙したのは翌年の契約がないと思ったからだった、という落合自信の説明に合点がいった。

 こういうのを読むと、これがFC東京だったらどうだろうと思わずにいられないし、その想像は楽しい。監督は地元企業へのサービスはしない。選手にも十分なケアをさせることを優先させる。試合には勝ちまくり、優勝する。最高じゃないかと思う。それでファンは離れていくだろうか。いやいや今の東京の状態じゃありえないだろうなぁ。

 ましてやリーグで勝ち、次にはアジアの舞台が待っている。さらにその先には世界の舞台が待っている。自分たちのクラブをアジア・世界の基準で考えられるようになる。なんて魅力的なんだろうか。それだけ強ければ自然と観客も増えるだろう。そう考えると強いことのデメリットなんて何もない。多少、サポート企業の宴会に出なくとも、他の企業がいっぱいやってくるだろうし。こんな監督がいつか東京の監督になっても面白いだろうなと思わずにいられない。
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by vamos_tokyo11 | 2013-04-15 23:12 |


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