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『なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか』 ロバート・C・アレン

 産業革命がなぜ最初にイギリスで起きて他の欧州諸国ではなかったのかという考察が興味深かった。日本の話も割りと豊富に書かれている。

4757123043なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか
ロバート・C・アレン グローバル経済史研究会
エヌティティ出版 2012-11-30


メモ。

第2章 西洋の勃興
・植民地との交易によるグローバル化
・イギリス、オランダの製品が売れる→工業化→農村人口の都市流入=都市化
・スペインなど南欧諸国は南米で大量算出する銀によって富むことができたが、
 逆にそれによってインフレが進展し、産業が育たず、後退
・都市化がエネルギー革命を引き起こした
・都市化したロンドン・アムステルダムの高賃金化
・都市化と高賃金化が農業の効率化を促し、イギリス・オランダで農業革命
 生産高が50%増加
・都市化による消費活動の活発化→エネルギー革命 木炭から石炭へ
・高賃金経済→高度な識字率、計算能力

第3章 産業革命
産業革命が興ったのはオランダ・フランス、さらには中国やインドでもなく、なぜイギリスなのか
・都市化により高賃金化
・エネルギー革命=炭田開発により割安なエネルギーを利用可能
 ⇒割高な労働を節約する方向へ資本が向かう
 より多くのエネルギーと資本を利用できたイギリスの労働者はより生産的に
 「労働力が割高&資本が割安」

 インドやその他の国では機械に投資するよりも人手で作業したほうが、安く綿糸を紡ぐことができた。イギリスは賃金が高かったために、如何に安く綿糸を紡ぐことができるかと資本を投入して工場を作っていった。またこれによってインドの工業化を遅らせる原因にもなっている。高賃金なほど工業化せざるをえなかったということ。まさに「必要は発明の母」。

 日本がなぜ西洋諸国にキャッチアップできたかということも説明されている。明治以後、資本の節約を独自の機械工作で果たし、独創的な綿工場の運営(11時間2交代制)によって他国に見られない工夫をしていたことが書かれている。単に「頑張ったから」ではもちろんなく、様々な工夫があったということ。江戸時代から基本的学力(算数・読み書き)が身についていたことも大きいだろう。戦後については通産省主導の話が出てくる。
by vamos_tokyo11 | 2013-04-18 22:27 |


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