『ケインズかハイエクか』 ニコラス・ワプショット

4105063413ケインズかハイエクか: 資本主義を動かした世紀の対決
ニコラス ワプショット Nicholas Wapshott
新潮社 2012-11-22



 この手の本の中ではかなり読みやすく、小説の様に話が進んで面白かったのだが、それでも読み進めるのがなかなか難儀だった。

 第一次大戦後のベルサイユ条約での戦勝国の不誠実な対応に対してケインズが怒りを『平和の経済的帰結』にぶつける。この本の中でケインズが戦後を憂いて予言していたことは有名な話だが、そこをスタートにして、ケインズと当時オーストリアで学生だったハイエクの物語が始まる。

 ふたりの主義主張の違いがあまりに対照的で、またそれを取り巻く人々や議論が非常に鮮やかに描かれていて、ケインズが亡くなるまでの話はとても小説的で面白かった。ハイエクのことはさっぱり知らなかったのだが、経済の考え方の勉強にも多少なったと思う。

 ケインズが亡くなって以後の話はハイエクのケインズ派への対抗で話が進む。世の中の経済の動きと連動してケインズ、ハイエクの評判は、片方が上がれば他方は下がり、片方が下がれば他方が上がるという形で論争が続いていく。最後は2008年のリーマンショックまで描かれている。

 正直どっちの経済政策が良いとかはよく分からないのだが、どっちの考え方も必要で、要はそれぞれの理論をさじ加減に気をつけて運用することが、経済運営していくには大事なのだろう、とざっくり理解した。ま、その運営が極めて難しく唯一の解はない、というのが現実の答えではないだろうか。

 マーガレット・サッチャー氏が亡くなり、ハイエクの話も書かれていたが、まさにその時代の話がこの本にも出てくる。ふたりを軸にして政治経済史の流れを俯瞰することができるという意味でも有意義な本だった。
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by vamos_tokyo11 | 2013-04-26 00:03 |


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