『ネットと愛国』 安田浩一

 うまねんさんのTwitterで大久保でのデモ(呼んでいいの‥)と本のことを知って読んでみた。

4062171120ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book)
安田 浩一
講談社 2012-04-18



 在特会(在日特権を許さない市民の会)というものを全く知らなかったのだが、おぞましいデモを先のTweetで知り、この本で多少なりとも理解できた。(これを書いたのは2ヶ月ほど前だったと思うのだが、それ以来ますますこの手のニュースが広がっている。政治問題にもなっている)

 本を読み始めて違和感極まりないこの会の主張にいちいち反証を頭にイメージするのだが、途中からそういう作業が全く無意味だということがわかった。当初メモしながら読んでいたのだが、無茶苦茶すぎて話にならないということだけはわかった。

 世の中の、というかネット社会の動きとして、在日朝鮮人や韓国人・北朝鮮人・中国人を叩く傾向が強いことは理解している。最近ではYahoo!ニュースに対するコメントでもキツイ書き方のものが多く見られ、それらに対する支持がものすごい数で付いていたりする傾向は理解している。しかしながらこういうのを見ると本当にネット上の意見が偏っていることを感じないわけにいかないし、『ウェブはバカと暇人のもの』という本を思い出さずにはいられない。

 本は最後の方でだんだんと物悲しくなってくる。この会を構成している人たちは一般の人たちであるが、社会的な弱者で、自分の居場所がない人ばかり。他社に承認してもらいたいという欲求を抱いている人として描かれている。その人たちがさらに自分たちより地位の低い(と思っている)人たちを蔑み叩くという構図は、自分より下の人間を見つけて自分の位置を相対的に上げているのだということを表している。士農工商とさらにその下のあった江戸時代、もっとそれ以前の時代と社会構造は変わらないということか。。

 本の中身というか、書き方でいくつか腑に落ちないところもあった。在特会を「保守」と書いているが保守ってなんだろうか、と。この行動がネオナチ・排外主義と違わないのであれば、客観的に見て極右と呼ぶ方がしっくりくるような気がした。そもそもこの本では左翼に対して保守と書いている。左翼に対するのなら右翼だろうと。これもよくわからなかった。他にもいろいろ細かいところで著者の書き方・主張に違和感が溢れるのだが、メモも録っていたのだが割愛したい。

 少なくともこういう人たちがいて、ネット社会では支持する人もいるということがわかった。とはいえ、少なくとも良識ある人が聞いていられない主張を繰り返しているため、だんだんと下火になってきているかのような印象を受けた。ただ、きっとこういうものが受け入れられる素地が社会的にできてきているのは、やはり少し怖いと思う。またそうであればこそ、国全体・社会全体が豊かで「総中流」であることの重要性を感じた。中国のように社会の成長がいびつであればこそ、昨年のような反日暴動が起きるわけだから。
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by vamos_tokyo11 | 2013-06-23 00:29 |


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