『二つの祖国』 山崎豊子

 かねてから読みたいと思っていた本をやっと読んだ。山崎豊子の本は『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』『不毛地帯』を読んだが(『白い巨塔』は途中でやめた)、『不毛地帯』を読んだとき以上の衝撃を受けた。自分の知らないことのなんと多いことかと、本を読んでいろいろなことを感じられ、本当に読んで良かったと思った。

二つの祖国 第1巻 (新潮文庫 や 5-45)二つの祖国 第1巻 (新潮文庫 や 5-45)
山崎 豊子

二つの祖国 第2巻 (新潮文庫 や 5-46) 二つの祖国 第3巻 (新潮文庫 や 5-47) 二つの祖国 第4巻 (新潮文庫 や 5-48)


 話の筋はwikipediaでどうぞ。wikipediaだと完全ネタバレなのでお気をつけて。

 この本の主人公天羽賢治は、例によってモデルとなる人がいたそうだ。しかもかなりの部分が重なっていて驚いた。こんな劇的な人生を送った人がいるのかと。


 印象的なシーンをいくつか
 ・日系人の強制収容所
  → 初めてイメージをつかむことができたし、その雰囲気を感じられた
  → これまで住んでいたところから突然連れていかれ、馬小屋に何人も押し込まれるという家畜同然の扱い
  → 伝統あるサンタアニタ競馬場が収容所だったことは知らなかった
 ・差別を受けながらも志願し、ヨーロッパ戦線で戦い戦死していく2世たち
 ・陸軍日本語学校での語学兵になるための猛特訓
 ・フィリピンでの日米の戦闘・前線の模様
  → 戦闘の凄まじい描写、言語兵の活躍の描写
 ・原爆の被害の凄まじさとそれを隠すアメリカ
 ・極東軍事裁判でモニター(言語調整官)という苦しい役回り
  → 東京裁判の模様が詳細に描かれている
  → 被告と証人のやりとりに、天皇を守ろうとする裁判官・検事・弁護団のせめぎあい
  → 戦勝国による不正な弾劾裁判であることを印象付け、
    東条英機などA級戦犯者を美しく描いているところに違和感を感じつつも、
    この描写を読んでいるときは、思わずその人物像に惹きこまれていってしまう
 ・原爆の被害者となる2世=アメリカ人
  → アメリカ人にも関わらずアメリカに殺されていく・・・

 戦場にしてもヒロシマにしても、裁判所にしても、どの描写にしても、匂い立つような、濃厚な描写で息詰まるような感覚さえ覚えるものだった。

 もっとも印象的なのは、
 「父さん、母さん、僕は、勇や忠のように自分自身の国を見つけることができませんでした」
 という賢治の悲痛な心の叫びであろう。

 最近忙しくてつらい日々が続いているが、こういうものを読むと、自分の悩みのなんと小さなことかと思ってしまう。


 日系人強制収容所、442部隊、言語調整官、極東軍事裁判、ヒロシマ、ルソン、フィリピン
 → これらのキーワードをもとにもっと深く知りたいと思った。

 モデル伊丹明 (wikipedia
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by vamos_tokyo11 | 2013-07-13 01:21 |


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