『世界地図の中で考える』 高坂正堯

4106001128世界地図の中で考える (新潮選書)
高坂 正尭
新潮社 1968-09



時代を超えて読まれる本はいろいろ含蓄があるってのをまた感じさせられた。

p120-121 アメリカの強さ
ダイバーシティ、混沌の効能を端的に表している
第三部 文明の限界点
インドを支配しながら旧習を破壊改革せず放置し統治したイギリスに対し、自らの制度価値を押し付けて統治するアメリカ。この違いを説明しつつ、正解はないことを語る。
アメリカの戦い方=物量で整地するように押しつぶして行くやり方ではベトナム戦争はむりだった。日本で成功したやり方も南ベトナムではあてはまらなかった。

第四部
多様性を大事にする欧州、特にフランス。戦後、超大国アメリカの出現、帝国の成立に反対してきた。それは、軍事的にも経済的にも世界を圧倒すると皆アメリカのコピーとなり、尊厳と誇りを持ち続けることが困難であるから。「人間性を破壊する」危険を持っている。
現在のアメリカの状況を見れば影響力が落ちてきたので喜ばしいということになるのかもしれないが、世界が小さくなり互いに強く影響している社会であることを問題視しているので、インターネットのある現代は別の意味でよりアメリカの影響を受けていると言えるのかもしれない。

第五部
よく魚を与えるより魚の取り方を教えるべきという言い方をするが、それだけでは何も実現しないことが分かる記述。
つまり、新しい文明に適合していくためには社会制度を変えなければならないが、それは内側から変えるしかなく、他国がどうこういっても変わらないということ。食糧不足のインドで農業人口を増やそうとしても、カースト制が邪魔になって(カーストが違うと一緒に働けない)実現しないが、カースト制を破壊するようなことは外からはできないし、内からも容易でないという話。

人は豊かな生活を送りたいが、それは与えられるものでは満足せず、自ら作りあげるものでないと不満がたまる。当時の学生運動はこの漠とした不安を現したものと評している。経済的に豊かになれば幸せになれるわけではないというのはこの頃から言われていたことがわかる。

2015/8/14読了
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by vamos_tokyo11 | 2015-12-26 16:07 |


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