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岡田監督の就任とオシムの残したもの

 日本代表の監督に岡田さんが就任して1ヶ月弱が経った。オシムさんの驚異的な回復ぶりも伝わってきて、まずはひと安心となったので、その思うところを整理してみたい。

 web上では、ブログなどで本件に関する話が出た瞬間に様々な意見が出ていたが、ここにきて雑誌・新聞のメディアで記事がまとまって出てきている。僕が読んだメディア記事は、「サッカー批評 ISSUE37」(12/10発売)、「Number 694号」(12/20発売)、「オシム@JAPAN」(日経12/21朝刊)の2誌、1新聞だ。

 僕が感じていたことと最も似ていて共感できたのは後藤健生さんの記事(Numberに収録)だった。

 その要旨は次の通り。
  ①オシム監督は2010年を目指したロードマップに従って計画的に日本代表を強化していた。
  ②アジアカップはベトナム合宿という強化期間だった。
  ③中盤より前の攻撃面強化に関してはこれから手をつけるつもりだったのではないか

 正直③のようなことまでは思いつきもしなかったが、記事を読む限りなるほど、と思わせるところもあった。




■オシムサッカーは本大会を見据えていたと思う

 僕は、オシムさんは南アフリカ本大会で通用するサッカーができるようにチームを鍛えていると思っていた。つまり、アジア各国を相手としたワールドカップ予選の突破を目指しているものではなく、南アフリカ本大会で欧州・南米の強国に勝てるチームを作ろうとしていると思っていた。

 だからこのタイミングでの監督交代は心底残念でならない。そしてこれから見られると思っていた「日本代表」はもう見る事ができない、というのが悲しかった。

 すでに岡田監督としての日本代表は始動していて、当然ながらオシム監督時代の基盤を引き継ぎながら徐々に岡田色に染まって行くのだと思う。もちろん岡田監督の就任会見の男前っぷりはかっこよかったし、日本人ならガンバの西野監督か岡田さんくらいしかいないだろう、とも思っていた。だから岡田監督という人選には文句はないのだが、でもやはり「オシムさん以外にオシムさんのサッカーはできない」と言うとおりで、それだけに残念でならない、という気持ちから切り替えられない自分がいる。


■チームを作ったのではなく選手を育てていた

 そしてまた、そりゃそうなんだけど、と思わせる記事が昨日(12/21)日経朝刊に載っていた「オシム@ジャパン」(武智幸徳氏のコラム)最終回だ(上記のリンクにそのうち載ると思います)。ここには武智さんの素晴らしい思いがぎっしり詰まっているので、ぜひ全文を読んでいただきたいのだが、少しだけ引用しておきたい。

 記事では、オシムさんが育てようとしたサッカー選手とは何だったのか、ということについて触れていて、それは「どこに出しても恥ずかしくないプロのサッカー選手」ではないのか、ということだった。その上で「監督が代わった非常事態の今こそ、選手は新監督にオシム仕込みの汎用性の高さを示すべきだろう」と書いている。

 また、記事の横には「オシム語録」として、我々「非サッカー選手」にも通じるような言葉がぎっしりと詰まってる。全部書いておきたいくらいだが、webにアップされるのを待ちたいと思う。


■木村元彦氏の記事

 自分の記述力のなさが嫌になるまとまりのないエントリで申し訳ないのだが、最後にどうしても触れておかなければならないのが、やはり木村元彦氏の記事だ。「サッカー批評 ISSUE37」では「オシムが注いだ愛情」と題された記事が巻頭を飾っている。また、それより少し短い記事が「Number 694号」にも載っている。

 「サッカー批評」はこれを巻頭に持ってくることで我々サッカーファンに男気を示している。この硬派な季刊誌は、よその一般的なサッカー協会に媚びへつらう様なジャーナリズムとは一線を画することを高らかに宣言しているのだ。その中には川淵会長が、涙の会見後、家族が発表して欲しくないという病状について、福島の講演会の中でしゃべっていたという、例の信じられない行為についても書かれていた。

 木村さんの最後の一段落を引用しておきたい。これはオシムファン共通の想いではないだろうか。

 「試合展開に一喜一憂するあの所作をもう一度見たい。示唆に富んだあの言葉をもう一度聞きたい。小さき者を見つめる慈愛に満ちた表情にもう一度触れたい」
by vamos_tokyo11 | 2007-12-22 23:48 | 日本代表


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