『ローマ人の物語(1)(2) ローマは一日にしてならず上下』 塩野七生

 ずーっと読みたくて読み始めた本。

 文庫の1・2巻はローマ建国からローマがルビコン川以南のイタリア半島を統一するまでが書かれている。歴史の教科書のように読み進められるが、途中で当時の先進国であるギリシャの話が出てきたり、そことの関係性が出てきて面白い。

 知力ではギリシャ人に劣り、体力ではケルト(ガリア)やゲルマン人に劣り、技術力ではエトルリア人に劣り、経済力ではカルタゴ人に劣っていたローマ人が、これらの民族に優れていた点は何よりも彼らのもつ開放的な性向にあった。(P208)

 征服した相手を奴隷にするのではなく、ローマの地に住まわせて、貴族は貴族として扱うという同化主義でローマの町を発展させていった。生きるための、町を発展させるための手段なのだろうが面白い考え方。



 なぜローマが興隆しえたのか、という疑問に対する著者の考え方が秀逸。2巻の「ひとまずの結び」の202ページ以降だけを読むだけでもいいのではないかと思うくらいだ。歴史を考える上では、その時代の「常識」に基いて考えなければならないのだが、ローマの興隆を考える上ではヨーロッパ人よりも著者の方が向いているという。それはキリスト教の的考え方の土台を持っていないからこそだと述べている。キリスト教の倫理観や価値観から自由でいられる著者は、同じくキリスト教が生まれる以前の時代の歴史家(3人のギリシア人と1人のローマ人)が書き残した文献に同意できるという。モノの考え方の参考になる話だ。

 3人のギリシア人
  ポリヴィウス『歴史』
  プルタルコス『列伝』
  ハルカルナッソス生まれのディオニッソス『古ローマ史』
 1人のローマ人
  リヴィウス『ローマ史』

 それにしても最後の附録年表を見て驚く。ローマがイタリアを統一する頃、日本は縄文時代からようやく弥生時代に入る頃だ。やっと稲作開始かと思うと面白い。

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塩野 七生

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by vamos_tokyo11 | 2008-04-27 21:13 |


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