『華麗なる一族』 山崎豊子

 これは面白かった!ドラマを見てなかったので最後まで結末を知らず楽しめた。これまで山崎豊子の本は読んだ事がなかったのだが、いろいろ読んでみたくなった。

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山崎 豊子

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 僕自身がこの本に出てくる土地土地にゆかりがある。幼稚園から小学4年までの間、神戸の岡本、芦屋に住んでいたことがあり、神戸港を望む景色を思い出した。また志摩半島も賢島に親父の勤めていた会社の保養所があったので行ったこともあり、なにか懐かしい感じがした。さらに今の仕事の内容が銀行のことに関わったりするので、かなり入り込みやすかった。

 何より感じたのが、自分が生まれる前の話であるにもかかわらず、当局の銀行への関与の仕方が今と全然変わってないということ。この小説では銀行の再編話(合併話)を中心に物語が進むのだが、これは90年代終わりからつい最近まで続いていた銀行業界の再編と同じなのだ。ここ数年の合併に関して当局が絡んでいたことは間違いなく、40年ほど経っても何も変わってないのだなぁと、日本のこの状況に愕然とした。今でも銀行と当局の関係を見るにつけ、ほんとにこれって独立した会社と呼べるんだろうかと疑問を持たずにいられないわけだが、これでもまだだいぶマシになったんだろうか。





 ところで、主人公の一人である万俵鉄平はドラマではキムタクが演じていたみたいだが(ドラマは見てない)、本のイメージは全然違う。もっとがっしりとして骨太で背の高いイメージだ。俳優で誰かいるかなぁ、と想像してみたがなかなか適当な人がいない。日本の俳優でがっしりとした横幅のあるバイタリティ溢れる感じの男ってなかなかいない。

 会社の先輩がいうにはこの話は太陽神戸銀行の前身である神戸銀行がモデルとのこと。wikipediaで調べるといっぱい出てきた。実話そのままの設定ではないのだろうが(妻妾同衾とかびっくりするような記述も出てくる)、実際に似たようなモデル一族がいたということがとにかく驚きだ。

 それにしてもこの話の題名を『華麗なる一族』と名づけるセンスはすごい。筆者が名づけたのだろうが、それにしても見事な題名だ。「華麗」は読み進めるごとに皮肉にしか感じなくなる。複数の話が並行して絡み合い、それでいて読んでいるほうは混乱しないのだからすごい構成力。迫力のある、登場人物の表情が見えるような本だった。

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by vamos_tokyo11 | 2008-09-07 01:33 |


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