『ルポ 貧困大国アメリカ』 堤未果

 「ルポ」と付くだけに若い。中に書いてある表現や気持ちの表れも若い。それだけに100%納得できるわけではないけれど、『びっくり先進国ドイツ』を読んだ後だけにアメリカの負の部分が良く伝わってきた。

ルポ貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版 1112)ルポ貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版 1112)
堤 未果

岩波書店 2008-01
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 テレビ・新聞では扱われない、アメリカの貧困層を描いた本。サブプライムローンでやられるヒスパニック系移民に始まり、貧困層の肥満児、人災だったというハリケーン・カトリーナ、高額な医療費負担、軍隊に入るしかない貧困層の若者、世界の貧困層が支えるアメリカの軍事力、とこれでもかと恐ろしい記述が並ぶ。




 太った子どものどこが貧困なのかさっぱりわからなかった(「食べれてる」=「貧しくない」と解釈していた)のだが、貧しいからこそ安いジャンクフードで空腹を凌ぐしかないということがよくわかった。考えられないのが学校給食のメニュー。マカロニ&チーズはゆでたマカロニにチーズ、バター、ミルクをこってりと味付け。おかずがこれで、主食はピーナッツバター&ジャムのサンドウィッチ。これにオプションでコーラかチョコレートミルクが付くという!考えただけで胸焼けがしそうだ(苦笑)。で、学校給食の市場に参入してきているのが、マクドナルド、ピザハット、バーガーキング、ドミノピザにウェンディーズ。結局政府が貧困層を切り捨てた政策の結果だということだ。

 その他上記に書いたことに対してアメリカの負の部分を引き出している。カトリーナの被害が拡大したのは政府の遅い対応だったということで、危機管理対策が民営化されて予算が削られた結果だとか。大学に上がりたくてもお金がない若者は軍隊がお金をだすということで勧誘され入隊し、しかしその後なかなか軍隊から出られなくなる。そして「ケロッグ・ブラウン&ルート社」「ガルフ・ケータリング社」「ハリバートン社」など米軍の後方支援を請け負う企業が世界中から貧困層を集めて戦地(クウェート)に従事させているという話。ラムズフェルドなどの政府高官がこれで儲けているのは知っていたが、ここまでえげつないやり方だったとは知らなかった。貧しい国から望んでくるのならまだしも、契約と異なることをさせられることもあるらしい。

 どこまで真実なのか確認するすべはないが、自分の身を守るには自分しかいないんだと思わせるような結構怖い本だった。「ほんとかよー」とか「ごく一部のことだけ書いてるんじゃないの?」と思わせる部分もないではないが、日本が目指すべき方向は絶対にこっちじゃないと思わずにいられない内容だった。
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by vamos_tokyo11 | 2008-09-07 02:19 |


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