タグ:ローマ人の物語 ( 14 ) タグの人気記事

『ローマ人の物語 ローマ世界の終焉』41~43 塩野七生

 ついに完結。

4101181918ローマ人の物語〈41〉ローマ世界の終焉〈上〉 (新潮文庫)
塩野 七生
新潮社 2011-08-28



 この面白くもない衰退していくローマ帝国を、何巻にも渡って我慢して読み続けたのは、ローマ帝国の最後がどのようなものかを知るためだった。そして、それを見透かしていたかのように、42巻(中巻)の冒頭にある「カバーの金貨について」の記述。
 これからあなたが読むのは、情けない時代のローマ人の物語である。それでも放り出さないで読んでくれたとき、あなたは初めて、ローマ人の死を看取った、と言うことができます。

 そんな好奇心からなんとか読み進めて、ついに読み終えたが、滅び行くローマ(帝国ではなく都市)を読み、とても悲しく切ない気持ちになった。後半のローマ帝国がキリスト教化していき、蛮族に抵抗することもできなくなっていきながら、帝国が4分割、2分割され、崩れていくさまを読んでいた頃は、なんだかなぁ、と思いながらパラパラと読んでいたのだが、さすがに最後まで来てしまうと悲しくなってしまった。

 紀元476年に最後のローマ皇帝が退位させられて西ローマ帝国は滅亡する。ここまででも十分に帝国内が崩壊しているのだが、最終巻はここで終わらない。このあと100年ほどその後のイタリアを中心に後日談がある。後日談というか、自分的には最終巻の中ではここからの記述が実は一番興味深かった。100年ほどの間に、今のイタリア国内、ローマはどんどん破壊されていく。最初の数十年はイタリア王を名乗るゲルマン人のオドアケルの元でローマ人とゲルマン人は共生する。その中でローマ人はローマらしさを取り戻す。続いて、ゴート族のテオドリックがイタリア王となったあとも同様だった。だがその後、ユスティニアヌスの命の下、東ローマ帝国からベリサリウスがイタリア回復のため上陸してくると住民にとって悲惨な戦争が始まる。『ゴート戦役』の内容に沿ってそれが明らかにされている。人々は強盗にあい、農地は荒れ、ローマの町は破壊され、水道橋は完全に使用不可能となり、ローマの城壁も破壊される。つまり真にローマが破壊されてしまうところに悲しさを感じずにいられない(この破壊された年や理由が明確にわかっていることに感嘆するのでもあるが)。

 話の前半にはスティリコという「最後の将軍」といもいうべきローマの武人(半蛮族)も現れたり、肥沃に栄えていた北アフリカが砂漠地帯として荒れ果てていく原因などが理解でき、読みどころは、やはりある。

 また、最後には東ローマ帝国(ビザンチン帝国)が滅びるまでの領土の変遷が描かれており、イスラム勢力の台頭が見て取れ、ローマとそれ以後の世界が一変していることが良く分かる(地中海は「内なる海」であったが、ローマ後にはキリスト教とイスラム教の「文化を隔てる境界」に変わっていくことなど)。今の世の中を形作るものが、このローマの終焉とともに起こっている。

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by vamos_tokyo11 | 2011-11-17 00:02 |

『ローマ人の物語 キリストの勝利』38~40 塩野七生

 ラス前。文庫本は年1回(3分冊)刊行なので来年で最後。

4101181888ローマ人の物語〈38〉キリストの勝利〈上〉 (新潮文庫)
塩野 七生
新潮社 2010-08-28



 やっぱり最後の方になってきて悲しい感じの本になってるのは仕方がないこと。それでもこのシリーズを読み続けているのはローマ帝国がどうやって終焉するかを知りたいという一点に尽きる。もはや娯楽本としての楽しさもほとんどなくなっている(苦笑)。

 今回の巻を読むにあたって興味津々だったのが、中学生の頃に「ゲルマン民族みなごろし」と覚えたゲルマン民族大移動(375年)で何がどうなったのか、ってことだったのだが、なーんにも描かれてなかった(笑)。むしろこの年代の前後でバルカン半島を蛮族に制圧されて、帝国が真ん中で割られてるという異常な状態が出現。これによって、ついに帝国が崩壊し始めてることが地図の上からも明らかになっていった。375年というのはこの前後の動きを含めたすべてのことだったのかなぁ。この辺りはググって確認するしかない。

 また、本のもうひとつの中心は、もちろんキリスト教の浸透について。コンスタンティヌス大帝のミラノ勅令以降、加速するキリスト教化のなか、ユリアヌスの抵抗などは興味深かったが、やり方のまずさもあって世の中の流れには勝てなかったということもよくわかった。ユリアヌスが奇跡的に優秀な人物であったとしても歴史の流れを変えられることはなかったのだろうか。そんなことを考える。

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by vamos_tokyo11 | 2010-12-24 23:55 |

『ローマ人の物語 最後の努力』35~37 塩野七生

 ついにきた。

4101181853ローマ人の物語〈35〉最後の努力〈上〉 (新潮文庫)
新潮社 2009-08-28



 ついに崩壊が始まる。3世紀後半から4世紀にかけて、帝国が変容していく様をダイナミックに描いた巻。これまで皇帝がローマ市民と元老院の信任を経て成り立っていたものが、いわゆる専制君主的な、一般にイメージされる皇帝へと変わっていく。そしてローマ帝国そのものの本質が変わり始め、中世の始まりと言われる時代に突入する。

 帯みたいな記述をしたが、ローマ帝国が滅びるのはどうしてかというのを見るためにここまで読んできた身としてはこんな気分だ。と同時に、実はどうしても読みたかったものがこの巻の中に出てきた。やっとでてきた。

 それはディオクレティアヌスが作ったスプリットの宮殿の話。2006年にスプリットを訪れたとき、その宮殿城壁を利用してつくられたホテルに宿泊したことがあり、そこでローマ時代に皇帝によってつくられたというのが書いてあったので、そのころから「ローマ人の物語」を読んだらいつか出てくるかなぁと思っていた。そしてもう終わろうかというこの段になってやっと出てきた。(スプリット1スプリット2。いやぁ、今見てもスプリットはきれいだなぁ。。クロアチアというえばドブロブニクの方が有名だけど、こっちの方がこじんまりとしてる分、扱いやすいというか感覚的にしっくりくる感じなのを思い出した)

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by vamos_tokyo11 | 2010-03-19 22:35 |

『ローマ人の物語 終わりの始まり』29~31 塩野七生

 面白くなってきた。

4101181799ローマ人の物語〈29〉終わりの始まり(上) (新潮文庫)
新潮社 2007-08



 思えば21巻からは中だるみがあった。特に21~23巻はつらかったなぁ。ローマ帝国がどのようにして滅びていったかを知りたいと思って読み進めているので、ここにきてにわかに話が盛り上がってきた感がある。帝国の頂上である賢帝の世紀があれば、当然そのあとは下り坂にさしかかる。書きすすめ方がうまいのか、下り坂のリアリティがすごい。帝国は広いため、そこかしこで様々な問題点が噴き出してきて、それぞれにたいして収拾がつかなくなっていくところが恐ろしくもある。

 ドナウ以北のゲルマン民族が徐々に帝国を脅かしていく。これまでもあった蛮族との戦いも、徐々に押し込まれ方が激しくなる。ゲルマン民族大移動は375年と覚えているが、突如として大移動があったわけではなく、常に脅威として存在していたということだ。カエサルがガリアを平定する以前からの問題であったが、それが3世紀終わりごろになると明確な脅威として、イタリア諸都市まで侵攻されるようになった。それが描かれているのがこの時代。つまり375年にはまだ100年ある時期に頻繁に脅かされていたのだ。これを知れただけでもよかった。

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by vamos_tokyo11 | 2010-01-30 00:34 |

『ローマ人の物語 すべての道はローマに通ず』27~28 塩野七生

 インフラのみを記載した巻。

4101181772ローマ人の物語〈27〉すべての道はローマに通ず〈上〉 (新潮文庫)
新潮社 2006-09



 数々の遺跡が書かれていて旅行好きにはポイントとなりそうなものがいくつか見れてよかった。あー、旅行したい。これは一級のガイドブックだな。持ち運ぶには文庫本がいいけれど、実はこの巻に限っては写真も豊富だし単行本で持ってる方がいいかもしれない。

 おもしろいのが、ローマよりもイタリア以外の地方都市の方に多数の遺跡が残っているということ。ローマは掘れば掘るほど遺跡が出るのだが、すでに遺跡群の上に都市ができあがっているので掘ることもままならない。そのためアフリカ北部など砂漠の中で都市がなくなっている場所にこそ遺跡が残っていたりする。ポイントは、かつて都市であったが、現在は人間が住んでいないところ。ギリシャの山奥(?)にローマ式街道が残っていたりするのも面白いなぁ。

 フランスにしろチュニジアにしろ、そういうところへ行ってみたい。ついでにその近くでサッカー見れたらさらにおいしいんだけど。

4101181780ローマ人の物語〈28〉すべての道はローマに通ず〈下〉 (新潮文庫)
新潮社 2006-09


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by vamos_tokyo11 | 2010-01-17 06:09 |

『ローマ人の物語 賢帝の世紀』24~26 塩野七生

 前巻よりもだいぶ面白くなった。

4101181748ローマ人の物語〈24〉賢帝の世紀〈上〉 (新潮文庫)
新潮社 2006-08



 トライアヌスにハドリアヌス。ローマ帝国が最大領土を誇るのがこれらの皇帝の時代なのだが、皇帝ってしんどいなー、と思わずにいられない。皇帝のイメージは毎晩うまいもん食って、宮殿で極楽を満喫しているイメージがあったのだが、この人たちのストイックさはすごい。とにかく国のことだけを考えて一生を終えるような皇帝たちの姿が目に浮かぶ。果たしてこういう知性と気力のある政治家なり王様が日本のみならず、現代の世界にいるだろうか。(ブータンの王様は立派な人のようだが・・・)

 もっとも記憶に残っているのがハドリアヌス防壁という今もブリテン島の北部に残っているという壁の話。北方の蛮族からブリテン島の南部を守るために気付いた”壁”が現代のイングランドとスコットランドを分けることになり、現代イングランド・スコットランド国境もほぼこの防壁のあとのものであるということだ。これはいつか見に行きたい。

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by vamos_tokyo11 | 2010-01-10 23:34 |

『ローマ人の物語 危機と克服』 21~23 塩野七生

 だいぶ前に読んだ本でほとんど記憶がない(笑)

4101181713ローマ人の物語〈21〉危機と克服〈上〉 (新潮文庫)
新潮社 2005-09



 元旦の夜から激しい下痢。発熱もあり、昨日は休日もやってる医師会館へ行って診察してもらいました。元旦の朝から娘も下痢をしていて、どうやら娘が友達からもらった風邪が移ったみたい。体力が激減した悲惨な三が日でした。明日会社行けるかな。。。

 さて、この本、前回の『21世紀の国富論』は読んだ時のメモを残しておいたので感想をアップできたのだけど、これについてはメモを残してなかったので拙い記憶ベースで。

 ユダヤ人にまつわる特殊性であったり、ヴェスピオ山の噴火によるポンペイの消滅については興味深く読めたが、物語に色をつけるエッセイであり、それだけで本編のすべてを補えるようなものではなかった。ここまでこれの後続巻を読み続けて思うのだが、この巻、面白さという意味ではもっとも底辺にある本といえる。とにかく自分にとってはそういう本だった。

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by vamos_tokyo11 | 2010-01-03 17:38 |

『ローマ人の物語 悪名高き皇帝たち』 塩野七生

 中だるみ感あり。文庫本17~20巻。

4101181675ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1) (新潮文庫)
新潮社 2005-08



 この巻はカエサルの巻に比べて面白さがぐっと落ちるし、またアウグストゥスの前巻よりもはっきり言ってつまらない。比較的短命な皇帝たちのそれぞれの特徴を年代ごとに追って書かれている。中学校の世界史で覚えているのローマの皇帝といえばネロ。とにかく「暴君」という言葉のイメージでしか残っていない(「暴君」といえばピーターアーツのイメージなってるけど(笑))。何をやったかは全く覚えていないがローマ帝国の皇帝と言えばネロだ。あとはカラカラ浴場のカラカラ帝。残念ながらこれしか覚えていなかった(笑)。

 ここはティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロの4皇帝のお話。何よりも驚くのは皇帝になった人物が、能力がないと見られれば周囲の人々に暗殺されてしまったり、もしくは自死に追い込まれてしまうこと。カリグラなどは近衛兵などの極近い周囲の人間に暗殺されている。上流階級の人々にはこの辺りの政治的センスと言うか、国家を思う気持ちがしっかりあったということだろうし、また裏を返せば皇帝たちがそれほどの愚政を行っていたということなのだろう。

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by vamos_tokyo11 | 2009-08-29 00:06 |

『ローマ人の物語 パクス・ロマーナ』 塩野七生

 ほぼ皇帝のような位置を占めるところまできたカエサルが死に、その後釜にカエサルにより指名された養子のオクタヴィアヌスが皇帝となりローマによる平和を構築していくさまが描かれている。

4101181640ローマ人の物語〈14〉パクス・ロマーナ(上) (新潮文庫)
新潮社 2004-10



 いわゆる皇帝と聞くとなにもかもを手に入れた状態で即位し、豪奢で勝手な振る舞いをしているイメージがあったのだが、ローマ帝国のそれは全く違っていたらしい。共和制へ戻そうとしたブルータスらによるカエサル暗殺を経ているため、その揺り戻しを防ぐところからスタートし、徐々に実質的な皇帝となり、その地位を固めていくところが面白い。この「徐々に」というところが不思議で面白い。ローマ市民、元老院、軍から信頼され、尊敬されていなければその地位が保全されないのがローマ皇帝ということらしいのだ。その地位を背景に圧政を強いて、税金を吸い上げるような恐怖国家をイメージしていたが全く違った。そもそもそんなことでは国家としてあれだけ広大な領地をあれだけの長い年月に渡って保持できるわけがないということだ。事実、オクタヴィアヌス以降の皇帝は護衛に暗殺されたり、元老院とローマ市民の支持を失って自殺に追い込まれてしまうというのだから、いわゆる「王様」とは随分違ったようだ。

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by vamos_tokyo11 | 2009-08-16 02:39 |

『ローマ人の物語 ユリウス・カエサル―ルビコン以後』 塩野七生

 ルビコン川を渡ってから暗殺されるまでのカエサルのお話。

4101181616ローマ人の物語〈11〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(上) (新潮文庫)
新潮社 2004-09



 この巻以降もだいぶ読み進めているため、塩野七生がいかにカエサルを評価しているかがよくわかるのだが、これに出てくるカエサル評は100%絶対にカエサル賛歌の話。おもしろくって感情移入できる。そもそも史実自体が面白いのだろうが、追い詰められてルビコンを渡って攻めに出るカエサルの側の圧倒的な強さが気持ちいい。

 ポンペイウスとの雌雄を決する戦い、クレオパトラの登場と読んでいて映像が浮かんでくる内容。そういう意味で冒険小説のようであり、筆の勢いもあるのでとにかくワクワク楽しく読めた。ちなみにこれ以降の「物語」が徐々にトーンダウンというか面白くなくなってくるので(今読んでるところは、「ここまできたんだから全部読むか!」という様な半分義務感で読み進めてる感じ)、この巻やその前がなおさら輝いて見える(笑)。だいぶ前に読んだので細かいことは忘れてしまったのだが、面白かったなぁという記憶がある。

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by vamos_tokyo11 | 2009-08-14 22:37