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『もう牛を食べても安心か』 福岡伸一

平成16年12月の本だからもう5年も前の本。

4166604163もう牛を食べても安心か (文春新書)
文藝春秋 2004-12



 『生物と無生物のあいだ』で有名な福岡伸一氏の本。昨年は日経の夕刊1面にコラムを持っていたり、土曜か日曜の夜のワイドショーにコメンテーターとして出てたこともあり、いまや超有名人になった人の本。

 『生物と無生物のあいだ』も相当面白かったが、この本も面白かった。やっぱりこの人文章がべらぼうにうまいのだ。藤原正彦氏もそうなのだが、理系の人間がこれだけ文学的な文章を書けると「ずるい」という感じになる。

 閑話休題。この本は題名の通り、狂牛病が蔓延したのち、米国産牛の全頭検査で輸入を再開するというときに、果たしてそれで安全は担保されるのかというポイントから、狂牛病とは何であるのか、イギリスで発症したのちどのようにして世界へ広がっていったのかといったことを説明し、人間が冒している行為の意味を生物学的見解から解説している。とてもとても興味深く、恐ろしく読んだ。もっとも衝撃的であったのが、やはり狂牛病がなぜ牛に発症したか、そしてそれがどうしてイギリスから世界へ広がっていったのかということを解説しているところだ。

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by vamos_tokyo11 | 2010-02-04 22:58 |

『悩む力』 姜尚中

 これは良い本。なんだか懐かしい感じがした。

4087204448悩む力 (集英社新書 444C)
集英社 2008-05-16



 中学・高校のときに誰もが悩むであろうこと、「自分」という存在が何であるか、そしてその周りへの疑問などが著者の悩みから普遍化されて語られている。とてもわかりやすく、そして強く共感できる本だった。

 小学生の頃(多分6年生だったと思う)、塾の帰り道に夜空に浮かぶ星を見ながら、自分はどこから来たのだろう、自分は何者なんだろう、自分の祖先を辿っていくと何になって、地球ができる前はどうなっていて、宇宙はどうしてできたんだろう、ということを考えてるうちに訳が分からなくなってしまったことを思い出した。自分が明日死んだら誰かに影響が出るんだろうかとか、誰か悲しむ人はいるんだろうかとか、そういったことを感じていたことも思い出した。そういう気持ちを思い出したということで懐かしい感じがした。

 この本の流れのひとつになっている、夏目漱石とマックス・ウェーバーの話にも非常に興味を持った。特に高校生か大学生の頃に『こころ』や『それから』を読んだけれども、「先生」の死に対する意味を著者のような見方で考えたこともなかったし、細かいところは忘れてしまっているので改めて読んでみたいと思った。

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by vamos_tokyo11 | 2009-09-21 23:01 |

『ロシア人しか知らない本当のロシア』 井本沙織

 まぁまぁ。もう少し文化的な面が深く書かれていれば面白かったのに。

4532260248ロシア人しか知らない本当のロシア (日経プレミアシリーズ)
井本 沙織
日本経済新聞出版社 2008-11



 著者は日本人かと思いきや、本の題名にあるとおりロシアから帰化した方のようだ。三都主みたいなもんか。と思って調べたらメッチャ外人さんです。日経のサイトに写真つきコラムがいっぱいアップされていた。写真がふんだんで本よりもこっちの方がいい(笑)。まぁ本を読んだ後だから、この本に出てきた場所(旧軽井沢を思わせる著者の故郷)の写真などが興味深く見られる。この本自体も「日経プレミアシリーズ」という文庫。

 この本ではソ連崩壊後から現代のロシアの生活様式や経済について書かれている。内容は、ロシアの風景がソ連時代から変わったこと、ロシア人の生活風景、ロシア人の祝祭日の過ごしかたに見る文化、ロシアの経済風景といったところ。やっぱりこの手の海外事情の本は文化的なところが面白くて、経済面の話はあまり面白くないし興味がわかない。経済事情については新聞やネットで見れるものと大差なく、新奇性はなかった。90年代にロシアがデフォルトになってから復活して、昨年まで好調だったことについて触れているが、紙幅が少なく新聞レベルでしかなかった。

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by vamos_tokyo11 | 2009-05-05 01:18 |

『行動経済学』 友野典男

 行動経済学の入門書。途中から理論がいっぱい出てきたのでそこからは斜め読み。

4334033547行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)
友野 典男
光文社 2006-05-17



 「効率的市場仮説」に対するアンチテーゼ。そもそも効率的市場といいつつ「仮説」ってぐらいだから仮説にすぎないわけなので、反論してもなぁという気もするのだが、この本はとにかく投資を行う人間がいかに矛盾に満ち満ちているかを、行動経済学のいろんな方面から暴いていく。冒頭に入門書と書いたが、ここではテーマごとにいろいろ書かれているのだが、途中から読むのがめんどくさくなってきて(笑)、「要は全然論理的な判断を下してないんでしょ、人間は。そんでもって株価の動きとかも極めて感情的なんでしょ?」という理解で終わってしまった。(だいたいあってる?)

 経済学が規定している「人」というのは論理的であり、一切非論理的な行動をとらないことになっている(数式で表そうとするためそうなる)が、そもそもそんな人間なんて少ないんですよというのがおもしろかった。まぁたしかにそうだ。しょっぱなに書かれているこの説明が、実はこの本の、というか行動経済学のエッセンスじゃないだろうか。

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by vamos_tokyo11 | 2009-04-16 23:40 |

『アダム・スミス』 堂目卓生

 日経新聞の選ぶ2008年経済書1位(たしかそうだった)。

4121019369アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書)
堂目 卓生
中央公論新社 2008-03



 まず、アダム・スミスの生きていた頃の時代背景を紹介。次にアダム・スミスの1作目『道徳感情論』を解説。次に『国富論』について解説。で、これが著述された当時(アメリカ独立戦争の頃)にスミスが何をすべきと考えていたかを解説。終章は「スミスの遺産」と称してまとめ。

 僕のように、スミスについては「神の見えざる手」しか知らず、おまけに自由放任な市場主義と理解(誤解)している人にはおすすめ。ただし、『道徳感情論』の途中から『国富論』の終盤まで読むのがとっても滞った。個人的な理由で読む時間がブツ切りになったせいもあるのかもしれないけれど、なんだかすーっと入ってこなかった。原作の訳、筆者の解説が繰り返され、まどろっこしくて集中できなかったせいかもしれない(解説がくどい)。本書は大学の教科書にできそうなくらいで、新書にしては「カッチリ」とした中身だった。読んでると実際にこの堂目さんの講義を受けてるみたいな感じもする。

 で、もしこれから読もうと思ってる人がいて、読み始めたけど「つらいな、これ」と思ったら終章だけでもおすすめ。ここにエッセンスがぎっしり詰まっているので、正直ここだけ読めばいい気がする。僕らは学生でもなんでもないから。そういう意味では良書。さすがに学者さんの書く本だけあって体系がわかりやすい(本書に出てくる「体系の人- man of system」ではなく(笑))。「見えざる手」の本当の意味、背景がわかってよかった(P101あたり)。中学や高校で学んでることはほんとに上っ面だなぁと改めて実感した。

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by vamos_tokyo11 | 2009-03-17 23:38 |

『生物と無生物のあいだ』 福岡伸一

 分子生物学者が生命とは何かを問うお話。
 こうかくと堅苦しい小難しい本に聴こえるが、めちゃ面白い。

4061498916生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
福岡 伸一
講談社 2007-05-18



 小説とかそんな感じのものを読んでる気分になる。とにかく文章が美しい。こういう科学者がこれほどの文章力、表現力を持っていると最強に違いない。国家の品格の藤原正彦氏も数学者だけど読みやすい文章を書く人だ。そういやファインマンさんも物理学者か。にしても、この人の文章は美しい。文学的なのだ。マンハッタンの周囲を廻る遊覧船の記述から「ものがたり」は始まる。始まり方からしゃれてるし、引き込まれる。枕がうますぎなのだ。プロローグからエピローグまできれいにまとまっていて、全部読み終わった後にプロローグを読むと、これが要約だったんだと気付いた。極上のミステリーを読んでいるような気分にさせてくれた。新書サイズの中ではずば抜けた本だった。

 中盤までは生物をどのように定義するかという主題を通して、DNA発見の歴史に見られる人間模様を解説。終盤は著者の研究を通して細胞が織り成す不思議な事象、生命の不思議をミクロな世界から解説してくれる。なんか最後は手塚治虫の『火の鳥』につながるようなイメージで感動的だった(尻切れトンボっぽくもある終わりかただけど)。エピローグがこれまた美しくてよかった。うん、実はエピローグが一番こころに響いたかも。

以下はメモ
 ・ウイルスが生物ではないとすると自己複製するものが生物という定義は成り立たなくなる。
 ・オズワルド・エイブリー アンサング・ヒーロー
 ・ワトソンとクリック
 ・ロザリンド・フランクリン  X線解析
 ・ウィルキンズ
 ・シュレーティンガー "What is life?"(1944) 『生命とは何か』(岩波新書)(1951)
 ・生命とは動的平衡(ダイナミック・イクイリブリアム)にある流れである
 ・GP2ノックアウトマウス
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by vamos_tokyo11 | 2009-01-29 23:26 |

『アフリカ・レポート』 松本仁一

 『カラシニコフ』『カラシニコフⅡ』の著者松本仁一氏のアフリカに特化したレポート。

4004311462アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書)
松本 仁一
岩波書店 2008-08



 『カラシニコフ』に続くアフリカもの。これぞ新聞記者という感じのまさに体当たりのレポートが読める。『カラシニコフ』と重なることが多いが、銃ではなくより現代問題的な観点からアフリカの問題を切り取った好著。政治体制などの大局と個人のインタビューを交えて非常にわかりやすく書かれている。新書サイズだが中身は濃い。

 第1章
 一人の独裁者が現れたことにより農業優等国だったジンバブエが崩壊する様子は衝撃的だ。ジンバブエ自体がどこにあるかもわからなかったし、その国についてなにひとつ知らなかったがムガベの名前は覚えておかなければならない(ムガベは当初は英雄だっただけに始末が悪い)。最近ハイパーインフレでゴシップ記事のようなニュースになることが多いが、それがどれほどの悲劇なのか、これを読めば多少理解できる。

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by vamos_tokyo11 | 2009-01-26 22:51 |

『27人のすごい議論』  『日本の論点』編集部

 ほとんどつまみ読み。

416660639527人のすごい議論 (文春新書)
『日本の論点』編集部
文藝春秋 2008-06


 いろんな争点をいろんな批評家が短く論評している新書。自分にとっては暇つぶし程度にしかならない本で、新聞や雑誌と変わりなく感じた。何かを深く理解し考えようとする本ではないので自分にとっては時間の無駄だったのである程度読み飛ばした。

 その中でも『国家の品格』で有名な藤原正彦氏の主張はいつもどおり首尾一貫していたし、ごもっともな主張だった。
 特に国語はすべての知的活動の根幹である。国語は、思考の結果を表現する手段であるばかりか、国語を用いてしこうするという側面もあるから、ほとんど思考そのものといってよい。(P83)
 ということで小学校で英語を教えることに反対している。なるほど。
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by vamos_tokyo11 | 2008-12-28 01:39 |

『不動産は値下がりする!』 江副浩正

 題を期待して読むとちょっと違う。再開発とかそういう話が多い。9月に読了。

4121502523不動産は値下がりする!―「見極める目」が求められる時代 (中公新書ラクレ)
江副 浩正
中央公論新社 2007-08


 我々世代ではリクルート事件で謝ってる印象しかない江副氏の本。結局いろいろ悪いことしてても才覚のある人は豊かな生活を送ってるのねということがわかる(生活レベルがにじみ出る話がいくつか出てくる)。

 本題がずれたが、本書でいう値下がりする理由は「金利が上がると価格下落を招くから」。これが結論。去年の時点(この本が出たのは2007年)の想定だとそうなのかもしれないけれど、今の状況は結果は同じだが理由は全然違うものだ。金利下がってるし、金融ショックもあるし(笑)。

 あとは土地は再生産されるというお話。で、そのための値下がりもあるよということ。でも、そのくせ「良いところは高くなっていくのだから買っておいたほうがいい」とかよくわからん。主義主張がバラバラな感じ。というか上がるところもあるし下がるところもあるという至極当然な話で、そんなことは別にこの本にこれ見よがしには書いていない。語りを書き起こしているのかもしれないが、題名と中身の異なるこういう本を作ってるこの中央公論社ってのは東スポなんかと大差ないなぁと思ってしまう。

 どうしても読みたいなと思ったら図書館でどうぞ。
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by vamos_tokyo11 | 2008-11-24 23:51 |

『サブプライム問題とは何か』 春山 昇華

 かれこれ1年前の本。

サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254) (宝島社新書 254)サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254)
春山 昇華

宝島社 2007-11-09
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おすすめ平均


 読んでだいぶ経ったのでほとんど内容を忘れちゃってるが、今となっては目新しい内容はほとんどなかったと記憶している。1年前にこれを読んでいたら何かが変わっていたかというとそんなこともないと思う。amazonの書評は随分と評価が高いけど、おそらくそれは昨年末から年初に掛けての書評だからだろう。

 ちょうど『ルポ 貧困大国アメリカ』の直後に読んだのでアメリカ社会の問題点が少しわかったような気がした。ちょっと考えればわかりそうな危険なローンで家を購入しようとする人たちと、そこにつけこむアメリカ社会の恐ろしさを感じられる。結局、自衛できないカモにされた人たち(十分な教育を受けられない低所得者層)が悪いんだと考えるのは簡単なのだが、「投資(住宅ローンを含め)は自己責任」とは言うものの、それだけでは片付けられない問題が根っこにあるのだということはわかった。

 今からだとあまり読む価値はないかも(新聞やネットで解説されているもので十分)しれないが時間があるのならば○。この件についてある程度理解してるのならば時間がもったいないので他のことしましょう。「サブプライムよくわかんない」という人がまとめて理解するには◎。

 ちなみに著者はリバースモーゲージ(中央三井信託がやってる)なんかもブームに乗ると悪徳業者が出てくるんじゃないかと危惧してるようだが、そういうのは恐らく今のひどい状態が忘れ去られる10年後とかの話なんだと思った。
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by vamos_tokyo11 | 2008-11-07 23:10 |