かねてから読んでみたかった本。おもしろかった。ここから2009年に読んだ本。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫)
浅田 次郎
講談社 2004-10-15
19世紀後半の清朝末期のお話。史実にフィクションが混ざった歴史小説。宦官や科挙制度なども分かりやすいし、時代のバックグラウンドを知らなくても(忘れていても)十分に楽しめた。小説の最初から最後までいろいろな登場人物が絡み合うところが巧みで、結論から話を立てて書き出しているのがよく分かる。常に時代がかかっているわけではなく、西太后がダダをこねたり、亡霊と話したりするシーンなど劇画チックな表現がチラホラ出てきて、そこがちょっとなんかもったいないというか、やりすぎな感じもした。(こういうところは好みが分かれるんだろうな)
主人公の史了(シーリャオ)は実存の人物じゃないみたいだが、読後にwikipediaなんかを読んでみると、この時代に起きた事件は史実どおりになっているようだし、そもそもこの史実自体が複雑怪奇なことになっているので、これを小説にするとそれはもうすごいことになるわけだ。
一部の本当の悪者(栄禄、李蓮英、袁世凱など)を除いては、それぞれの立場を重んじて性善説的に「いい人」に描かれており、特に西太后なんかが物分りの良く、優しそうないい人そうに描かれてて、でもそのあと理不尽な懲罰を繰り返したりしているところに、なにかちょっと変な感じはした。
そういう納得感のないものは置いておくとして、なかなか楽しめた本だった。時代がちょっと跳ぶらしいが続編らしい『中原の虹』も読んでみたい。
蒼穹の昴(2) (講談社文庫)
浅田 次郎
講談社 2004-10-15
蒼穹の昴(3) (講談社文庫)
浅田 次郎
講談社 2004-10-15
蒼穹の昴(4) (講談社文庫)
浅田 次郎
講談社 2004-10-15