まぁまぁ。もう少し文化的な面が深く書かれていれば面白かったのに。
ロシア人しか知らない本当のロシア (日経プレミアシリーズ)
井本 沙織
日本経済新聞出版社 2008-11
著者は日本人かと思いきや、本の題名にあるとおりロシアから帰化した方のようだ。三都主みたいなもんか。と思って調べたらメッチャ外人さんです。
日経のサイトに写真つきコラムがいっぱいアップされていた。写真がふんだんで本よりもこっちの方がいい(笑)。まぁ本を読んだ後だから、この本に出てきた場所(旧軽井沢を思わせる著者の故郷)の写真などが興味深く見られる。この本自体も「日経プレミアシリーズ」という文庫。
この本ではソ連崩壊後から現代のロシアの生活様式や経済について書かれている。内容は、ロシアの風景がソ連時代から変わったこと、ロシア人の生活風景、ロシア人の祝祭日の過ごしかたに見る文化、ロシアの経済風景といったところ。やっぱりこの手の海外事情の本は文化的なところが面白くて、経済面の話はあまり面白くないし興味がわかない。経済事情については新聞やネットで見れるものと大差なく、新奇性はなかった。90年代にロシアがデフォルトになってから復活して、昨年まで好調だったことについて触れているが、紙幅が少なく新聞レベルでしかなかった。
もともとの個人的な印象が「ロシアって国は信用ならないな、、、」と思っていた。その印象のままこの本を読んだのだけれども、印象が好転したり、さらに悪いほうへ転がったりと特に変わることはなかった。知らないことがたくさん書かれているわりに全体の印象が変わらないというのは、大雑把に考えて国のイメージが間違ってなかったということだろう。
たぶん日経のサイトに連載されているものがほとんど土台になっているのだろう。だから全体を通してとっ散らかった印象になっている(日経の本はたまにこういうのがあるな・・・)。感心したのは生粋のロシア人だった人が、日本語でこれだけの文章を書けるということ。作家でもないのに立派な人もいるもんだ。
(参考)
こちらは大和総研の著者のページ
大和総研/『井本沙織 ロシア万華鏡』