死刑囚の本、読んだのは2冊目。
死刑絶対肯定論―無期懲役囚の主張 (新潮新書)
美達 大和
新潮社 2010-07
『人を殺すとはどういうことか』に続いて読んだ。言ってることはほとんど同じなのだが、題名の通り、前作よりも著者の主張が全面に出ている。殺人犯の無期懲役囚から言われるとなんか変な感じだが、塀の中で同僚(?)に囲まれているだけあって説得力がある。遺族よりも被害者の人権が守られてないというのは、まったくもってそう思うのだが、無期懲役囚が言ってるだけにやっぱりなんか不思議な感じがする。
裁判員制度で初の死刑判決が出るかと思われた耳かき店員殺人事件だが、11/2の判決では無期懲役だった。最近この本を読んだだけに、自分が裁判員になったらどうなんだろうな、と思いつつも首をかしげざるを得ない判決だった。「目には目を」と言ったのはハムラビ法典だが、あれは復讐しすぎるのを防ぐためのものであったらしい。ならば、現代の刑法は遺族に
同害報復(タリオ)すら認めていないということだ。法廷でいろいろなものを見ちゃうとやっぱり影響されちゃうんだろうし、死刑を支持するのもすごいストレスなんだろうが、遺族感情に立つと違うものが見えてくる。
塀の中の人がいうことだけに実地に犯人から直接いろんな事件と犯人のその後の心情がよくわかる。それを読むだけでも価値がある。欧米で死刑廃止が支持されているのは何でだろう、と逆にそっちが気になった。機会があったら反対側の本も読んでみたい。