はやぶさ、そうまでして君は?生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話
川口 淳一郎
宝島社 2010-12-10
小惑星まで行って帰ってきた惑星探査機プロジェクトのリーダーが書いた、もちろん「はやぶさ」に関する本。ニュース程度しか知らなかったので、自分が思っていたよりもものすごい偉業だったんだということがわかった。さらに、NASAとJAXAの予算や規模の差についてもよくわかったし、それだけにこのプロジェクトを立ち上げ、成功させたことのすごさがよくわかった。なんだけれど、題名や本文中に出てくる擬人化が自分にはちょっと嫌だったというか、理解しがたかったな。
人間がプログラミングして指示して最後大気圏に突入して宇宙に溶けてしまうわけなんだけど、それを「そうまでして」自分たちの指令に答えてくれるなんて、と言われても、いや、それはあなたたちがそういう命令を出して動かしてるわけだから当然でしょう、と思ってしまうのだ。「はやぶさ」自体をニュースレベルでしかしらない自分からすると客観的に外から見てしまうので、川口さんが擬人化していとおしむ気持ちを理解できても、そこまで入り込むことができないので、ちょっと引いてしまった。
最後夜空にはやぶさが光って無くなってしまうことに対して感傷的になるのはよく分かるし共感できるんだけど、本の中にたくさん出てくる擬人化はちょっとよくわからなかった。私はシステム関連の仕事をしてるんだけど、それを擬人化するようなことはないし、何かバグや動きに問題があったりしてもそれを人智を超えた何かの仕業だとは思ったりしないわけで、そういう表現が出てくると、なんかどんどん感情移入ができなくなった。
まぁ、大きな仕事を成し遂げる人はそういうもので、凡人は仕事に気持ちが入ってないと言われれば抗弁できないので、小人の戯言かもしれないけど。
ネガティブなことを書き連ねたけれども、基本的に本はメチャクチャ面白い。このはやぶさプロジェクト(小惑星サンプルリターン)の話は掛け値なしに面白いので、本自体はオススメできる。ただ、細かな技術的な点をたくさん端折っているので、その辺りをもっと読みたかった。今度はそっち関係の本も読んでみたい。