『大地の子』で出てくる「チャーズ」を実体験した人の記録。お父さんが裕福な薬工場の経営者であったことで、戦後の共産党の長春攻めを生き延び、なんとか長春を脱することができた事実を日記風に書いている。戦中から戦後の長春脱出までがドラマティックで、いかに生き延びたがわよくわかる。
そんな中でも兵糧攻めにあった長春の中で生まれたばかりの弟や従弟を亡くしたり、自身も国共内戦の流れ弾を受けて負傷したりと、その日常の凄まじさが描写されている。
事実・史実を知るという意味で衝撃的だったのだが、この本が個人的な記録と記憶を辿る書き方をされているせいか非常に読みづらかった。
また、生き延びるには、やはりある程度の裕福さが必要であったという事実もわかるし、脱出できなかった人や餓死していった人がどれほどいたのかというところも気になる。当時の日々の状況が詳しく書かれていて勉強になった。なお、この本は絶版のようだ。