かねてから、どうして人の顔には美人と不美人があるのだろうか、目がふたつ、鼻がひとつ、口がひとつ、で基本的なパーツの数は同じなので、なんで美人に見える人とそうじゃないように見える人がいるのか、なんで自分は(人間は)そう感じるんだろうか、と不思議でならなかった(今でも不思議だ)。自分が美人のほうが好きなのもなんでかわからないし、例えばあの子は歯が出てるから好みじゃないな、と思ったとしても、それがなぜそう思うのかは説明がつかない。とにかく何をもって美人と認識しているのかが疑問だった。だからこの本のタイトルを新聞の書評で見たときには「これだ!」と思った。
でもこの本で教えてくれるのは私の疑問の極一部だけだった。それでもこの本は面白い。まず最初に「美しい」と「beautiful」の違いから入る。この辺り、「美しい」ことに対する検証として非常に真摯だ。そして一般的に有名な黄金比率に関する調査を示す。そして人気女性芸能人を例にとって「かわいい」と「美しい」の境目や違いを十分なボリュームのアンケートから分析する(先の統計学の本を思い出す)。しかーし、私が知りたいのはそんな違いではなく、美しいってそもそもなんぞや、なのでこの辺りからイマイチ感が出まくる。
しかし、ここに続く連続模様、シンメトリー、フラクタル次元、流線型や橋の機能美についての解説は、本のタイトルからは外れるが(サブタイトルどおりなのだが)なかなか面白かった。特にシンメトリーの説明で日本にある家紋やてぬぐいにある様な模様を基に説明しているのが良かった。わかりやすいというか新鮮だった。
でもま、結局私の疑問にはあまり明確な答えは出なかったのだが、シンメトリーってのはひとつあるのかもしれない。うーん。
(12月読了)