オシムの代表監督就任が決定的になったようだ。嬉しいはずなのだが、なんだかスッキリしない。妙に背筋が伸びるような思い、というか無条件に喜べる気分ではない。千葉サポーターではない僕がこういう気分でいるのも変、といえば変で、不思議なのだが、世の中的には大勢は無邪気に「大喜び!」という感じなのだろうか。昔から筋が通ってないことが嫌いな性分なので、別に偽善とか、そういうものではない。言うまでもないがオシムの代表監督就任は当然大歓迎だ。
こちらのブログではとても愛に溢れた文章が綴られている。オシムへの思いが溢れている。代表しか応援しないような人、最近Jリーグを見る様になった人は是非ご一読あれ。これが僕がスッキリしない理由なのかもしれない。 それはエゴだって分かってる。 ~ イヴィチャ・オシムは代表へ。 (PRAYERS'pharmacy BLOG) 僕はちっともエゴだなんて思わないし、本来あるべきファンの姿なんじゃないだろうかと思う。ここまで愛せる監督をチームに戴いていたなんて逆にうらやましいくらいだ。 サポーターの動揺や怒りはわかるが、恐らく選手は切替っているのじゃないだろうか。代表に近い選手ほど、チャンスだと思っていることだろう。巻や阿部勇樹は言うに及ばず、僕は羽生や佐藤勇人が間違いなく一度は代表に呼ばれると思う。そして是非見てみたい。それにきっとオシムのことだ。僕らが驚くような選手を選んで、唸らせてくれるだろう。 ところで、オシムは千葉ファンが思うほどに千葉を愛していなかったのだろうか? 僕は違うと思う。 今回、オシムはサポーターの成田への「お迎え」を喜びながらも、千葉を離れ、代表へと向かうことを決めた。これは愛がないからではない。愛があるからこそ、だと思う。オシムと千葉の愛の形は、僕は、若い恋人同士の愛ではなく、親子の愛のようなものだと思うのだ。たぶんそれは千葉のサポーターのほうがわかっていることだと思うけど。 部外者でありながら、いやむしろ部外者だからこそ冷静に書けると思い、書かせてもらうが、オシムは「千葉はもう十分だろう。そろそろ親離れさせないと」、と考えていたのではないかと思えるのだ。オシムイズムは3年半かけて十分に千葉の選手、スタッフ、そしてサポーターへ浸透しており、彼は引き際・タイミングを探っていたように僕は感じるのだ。千葉ファンならご存知の通り、オシムは毎年シーズンオフに帰国する際、戻ってくるかどうかをいつも悩みながら故郷へ帰っていた。彼は子供を独り立ちさせる機会をいつも探っていたに違いない。 この3年半、彼がチームを改革し、千葉は強くなった。オシムの意に沿わない選手はもういない。強くなったのはサッカーだけじゃない。選手も、スタッフも、サポーターも全員が同じ方向を向いている。これがどれほどすごいことか。東京ファン、そして代表ファンなら痛いほどわかることだ。理想とする姿に対し、全員の意識が統一されており、後任監督もそれを体現できるアマル・オシム氏(イビツァ・オシム氏の息子)がほぼ決まっている。目指すサッカー、方向性は同じはずだ。何より彼らのサッカーを見ていると、「オシムの言葉」を読むよりよくわかる。1点取ったらもう1点とって相手を叩き潰す、負けていても最後の笛がなるまであきらめない。これが選手だけではなく、スタッフ、サポーターまでに浸透していることがすごいのだ。オシムはきっと自分がやるべきことの8割ほど達成したのだと思う。 千葉は自分たちの型を持った。 千葉以外のJチームに型を持ったチームがあるだろうか?磐田は黄金期に美しいパスサッカーを持っていたが、一貫性のない強化方針によって瓦解してしまった。読売はもがき、J2に落ち、現在ももがいている。現在、我々東京も前年までのサッカーとは継続性が見出せず、そして再構築に苦しんでいる。千葉の他にそのチームらしいサッカーと言って思い浮かぶのは鹿島くらいだ。横浜の型を巡っての岡田監督の苦悩を思えば、千葉の浸透ぶりがいかに凄いことか、想像に難くない。 オシムは「リーグに国を代表する型がない。それが日本では代表だ」というコメントをだしているそうだ(こちらの中ほど)。ショートパス主体の走り回る勤勉なサッカー。僕が代表に持つイメージ。オシムがどんなサッカーを見せてくれるか、ほんとに楽しみでならない。何より僕は千葉のスタイルが好きだから。ジーコやトルシエが就任するときにはなかったワクワクする気持ちがある。身びいきかもしれないが、彼のサッカーに今野がガッチリはまるだろう。 ただ、間違えてはいけないこと。サッカーをするのは監督ではなく選手だということ。そこを吐き違えてはならない。オシムが監督をしてくれるなら、「あ~、監督が○○ならばなぁ、、、」という思いはしなくて済むだろう。しかし、日本は世界で通用するほど強くないんだ、という事を肝に銘じておくことだ。策を弄さず裸でぶつかって崩壊した、6月の苦い思い出を忘れてはならない。 最早、僕らは日本の弱さを監督せいにすることはできなくなるのだ。
by vamos_tokyo11
| 2006-07-03 20:59
| 日本代表
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